【豆知識】
現代の複雑な社会システムはいろいろな形でストレスを生み，人間はそれをいろいろな方法で解消しようと苦労している．このストレスという言葉は本来は“力”に関する言葉であり，押されたり引っ張られたり常に力が働いている大地にもストレスのたまる状況が作り出されている．大地におけるストレス解消法は単純であり，力がたまって，あるいは引っ張られて耐えきれなくなると破壊して食い違いをおこすだけである．これが
断層であり，破壊される際に生じる振動が
地震である．食い違いを生じた境界面を
断層面といい，その面は垂直に立っていることも傾いていることもあり，
ずれる方向もいろいろである．それらは力のかかり方によって決まる．
断層がどの時期の地層や岩石までをずらしているか (破壊しているか) で断層の形成時期をおおよそ決めることができる．しかし，条件が整わないとその確認はむずかしく，古い時代の断層ほどむずかしくなる．断層による破壊面に形成される
断層角礫岩や
断層粘土の中に破壊時の年代を示すものが含まれていればよいが，そのようなものを得るチャンスはかなり少ない．これらの破砕物は時間の経過とともに再固結していくか，削られていく可能性が高くなり，地下深部で形成された断層では周囲の圧力 (封圧) が高いために生成されにくいと考えられるので，これらの破砕物があると比較的新しい時期に地表近くで形成された断層であると考えることが多い．いずれにしろ，断層は大地の破壊面であり，地下では水脈を提供してくれたり，地表では削られやすいことから
土砂崩れの原因となったり，谷底平地を作り出したり，われわれの生活に深くかかわっていることを再認識しておく必要がある．
岐阜の地学
断層
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