岐阜の地学  資源・温泉  石灰石  窯業原料

資源・温泉[2] ウラン鉱床
~蓄積した放射能~

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【豆知識】

核燃料資源は岐阜県下における数少ない燃料資源の1つであり,濃集している放射性元素を採取することで資源となる.日本では,核燃料鉱床として採掘の対象となった鉱山は2ヵ所しかない.1つは鳥取・岡山県境の人形峠であり,もう1つが土岐市にある東濃鉱山である.東濃鉱山における放射性元素は,東濃地方に広く分布する苗木花崗岩土岐花崗岩に由来する.ウラン・トリウムなどの放射性元素は花崗岩中のジルコンやモナズ石といった副成分鉱物におもに含まれており,花崗岩が風化作用でマサ化してばらばらにされることでこれらの鉱物が水に接する機会が増え,水に溶けやすい性質をもつ放射性元素が鉱物から溶け出していく.このままの状態でいれば単なる水溶成分として存在するだけであり,それを利用すれば放射能泉となるが,それが地層中に固定されて濃集されるとウラン鉱床になる.
局所的に帯水層があり,そこに沸石などの吸着力が強い鉱物を含む地層があると放射性元素が蓄積されていき,地下水位の変動などによる再濃集が繰り返されて現在みられるようなウラン鉱床がつくられる.東濃鉱山では,土岐花崗岩を覆っている中新世の瑞浪層群の基底層である土岐夾炭累層内にウラン濃集部が見られ,それらは花崗岩がつくる当時の地表面にできた小河川の流路にそって形成されている.人形峠でも東濃鉱山でも採掘の対象にはなったが,採算のあう埋蔵量ではなかったため,稼動することのないまま閉山となった.東濃鉱山では核燃料資源の採掘はまったくなされていないが,鉱山の坑道を利用した地学関係の実験施設がおかれ,各種の研究が進められている.

【関連項目】 資源・温泉[10] 東濃地方の温泉
岩石・鉱物[2] 苗木・土岐花崗岩
景勝地[6] 鬼岩公園

【キーワード】 ウラン鉱床,核燃料資源,東濃鉱山,土岐花崗岩,土岐夾炭累層,苗木花崗岩,人形峠,放射性元素,放射能泉,埋蔵量,マサ化

【関連文献】
林 譲治 (1989) 瀬戸内区の東部地域における中新世の瑞浪陥没盆地の形成と水成ウラン鉱床の生成.地団研専報,36号,247–259.
石原舜三・鈴木淑夫 (1969) 東濃ウラン鉱床の基盤花崗岩類.地質調査所報告,232号,1–178.

【余談】
厳密には放射線ではないが,実質的に同じように扱われているものにX線がある.詳しい違いはともかくとして,人体に影響がある点では似たようなものと考えてよい.医療現場ではレントゲン写真でおなじみであるが,最近ではCTスキャンなどという機器も一般化してきた.それだけ多くのX線を浴びる機会が増えてきたことをしっかり自覚しておく必要がある.身体を守る手段が身体を病む手段になっては困る.

『学習テーマ』
地下資源


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