地球内部は何でできているか
地球はどんな物質でできているか。
それを知るには,地表に露出する岩石を調べればよいと思うかもしれない。しかし,話はそう簡単ではない。露出する地層や岩石は場所によって異なり,地球の平均の化学組成を反映したものではないからだ。
地球の化学組成を科学的に推定するにはどうしたらよいか。アマゾン川やミシシッピー川の河口に堆積している砂は,上流から運ばれた。砂はさまざまな岩石が砕けて運ばれてきたから,その砂はかなり広い範囲に分布する岩石の平均的な組成,つまり,地表付近の岩石の平均組成を表している。あるいは,地表に露出する岩石を多く集めて分析し,それを平均することで化学組成を推定できるかもしれない。
このようにして,地球化学者たちは,地殻の化学組成を推定した。その結果,大まかには,大陸地殻は花崗岩質,海洋地殻は玄武岩質の岩石でできていることがわかった。
では,マントルはどんな岩石でできているか。マントルまでの深さは大陸で30 km以上,海洋でも5 kmと,かなり厚い。マントルの岩石を手に入れようと大規模なボーリングが試みられたが,その作業はたいへん困難でり,多くのばあい途中で断念された。
しかし,マントル物質を手に入れることはまったく不可能というわけではない。捕獲岩といって,マントルの岩石が火成岩の中に取り込まれていることがある。火成岩のキンバーライトなどの中に多く含まれている。捕獲岩は,かんらん石や輝石,ガーネットなどからなるので,これらが上部マントルを構成するとされた。
下部マントルや核の物質を手に入れることは不可能である。そこで地球物理学者は,岩石や鉱物に荷重をかけて高温高圧にし,密度や結晶構造,地震波速度を測定する。こうして得られたデータを,地震波から求めた地球内部のデータと比較する。実験で得られた密度や地震波速度が,地球深部の値と一致すれば,それは地球深部物質の候補となり,大きくずれていれば候補から外す。こにょうに,地球物理学者は,地球深部を構成している物質を絞り込んでいく。
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