ストロマトライトという岩石
植物は細胞の中の葉緑体で光合成する。20億年以上前に,シアノバクテリアという光合成をするバクテリアが,真核細胞の中に入りこんで共生をし,やがて遺伝子の多くを失って葉緑体になった。
シアノバクテリアは,多数が集まって深緑色のマットを作った。そのマットに鉱物粒子が付着して,マッシュルーム型の岩石ができることがある。1960年に大規模なものが西オーストラリアのシャーク湾で発見された。
似た構造の堆積岩が先カンブリア時代の地層から数多く見つかっていて,ストロマトライトという名前で記載されてきた。しかし,ストロマトライトが化石なのか単なる縞々の地層なのかは様々な説があった。西オーストラリアでの発見によって,光合成して酸素を産む微生物が縞々の地層の表面をびっしり覆っていたことがわかった。
地層の記録を調べると,ストロマトライトは27億–6億年前に多く形成されたが,それより古い地層からはほとんど見つからない。このことから,27億年前以降に,浅海域にシアノバクテリアがマットを作るようになった。また,6億年前以後あまり見られなくなることは,地面を這い回ったり孔を掘ったりする動物が登場し,微生物のマットができにく環境に移り変わったからであろう。
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