月とよく似た表面地形をもつ水星
水星は,太陽系で最も太陽に近い惑星であり,0.3871天文単位の軌道長半径をとって,約88日で公転している。
自転周期も公転周期と同じであろうと言われたが,1960年代にレーダー電波を用いた探査によって,自転周期が58.6日であることが明らかになった。
自転周期が長いため,昼と夜で温度差が大きい。昼は470℃に達するが,夜は−180℃まで下がる。
水星の半径は2440 kmで,木星の衛星ガニメデや土星の衛星タイタンより小さい。密度は5.43なので,中心部に大きな金属核のだろう。地球のような強い双極子磁場は存在しない。
1974–1975年,アメリカの惑星探査機マリナー10号が水星に接近し,表面を撮影した。水星の表面には,月の高地と同様,多くのクレーターが形成されていた。特に,巨大な多重リング衝突盆地であるカロリス盆地の形態は,月のオリエンタル盆地と類似していることで注目された。
水星表面にはあちこちに逆断層地形がある。それらは,水星の体積が縮んで短縮性の変形を受けたことを物語っている。
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