理科教材データベース
岐阜大学教育学部理科教育講座(地学)
光学現象の解説
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虹ができる理由
 『虹』は太陽光が大気中を浮遊する水滴の中で屈折、分散したものが水滴の内部で全反射され、再び外に出てくるためにできるものです。
 通常よく見られる虹は地上から紫・青…赤の順に並んでいます(写真・その2)。こうした虹は『しゅこう(主虹)』と呼ばれるもので、この他に『ふくこう(副虹)』と呼ばれる虹が現れ、二重に見えることがあります(写真・その1)。『副虹』は『主虹』とは逆の順番に色が並んでいます。この違いは水滴の中で何回反射が起きたかの違いによっておきます。すなわち、『主虹』が1回の全反射によって外に出てきた光(右図・上)であるのに対して、『副虹』のほうは2回の反射を経て外に出てきた光(右図・した)であるわけです。
 この回数の違いによって、虹が見られる角度も変わってきます。太陽に背を向けて『主虹』は40°〜42°、『副虹』は51〜53°の範囲でそれぞれ見ることができます。



環水平アーク

環水平アークとは?
 大気上空に存在する氷結晶を太陽光が通過するとき、反射や屈折によってさまざまな光学現象が現れます。『環水平アーク』は、六角板状をした氷結晶の側面から入射した光が氷結晶の底面を通過して大きく折れ曲がってくる光(右図・上)です。その他、上底から光が入射して側面を通過して大きく折れ曲がってくる光(右図・下)を『環天頂アーク』と呼びます。
 太陽高度が58度以上のときに、太陽から46度程度離れた高度にほぼ水平に出現します。ほぼ水平に虹のように鮮やかな七色に輝いてみえるのは壮観といってもよいでしょう。環水平アークは太陽高度が高くないと出現しないので、低緯度でよく見られますが、上空に氷結晶からなる薄雲ができるのは、きわめて稀です。



幻日

幻日とは?
 『かさ(暈)』とか『ハロ』と呼ばれる現象があります。これは太陽光が大気中に浮遊する氷の結晶により屈折または反射してできる光学現象のことです。。
 太陽のまわりにできる半径22°の輪は『日暈』と呼ばれ、比較的頻繁にみることができます(写真・その2)。また、条件によってはさらに半径46°のところにも輪ができることがあります。この二つを区別するために、前者を『内暈』、後者を『外暈』と呼ぶことがあります。
 太陽とほぼ同じ高度にあたる内暈の位置に明るい部分ができることがあります(写真・その3〜その6)。条件がよければ左右両側にみられます。これが『幻日』です。
 内暈の上端と下端付近に暈と接するような光条が見られること(写真・その1)があり、それらを『タンジェント・アーク』とか『接弧』とかいいます。
 さらに夕暮れや早朝には、太陽からまっすぐ上に向かって光の柱ができることがあります。これは『太陽柱』とか『サンピラー』とか呼ばれています。