|
ジュラシック・パークという映画を見て,恐竜が鳥類によく似た動物として描かれて いることに驚かされたのではないだろうか.そうした恐竜たちの意外な姿は,空想の話 ではなく,実際に最近発見されている多くの化石によって証明されるようになってきた. モンゴル科学アカデミーとアメリカ自然史博物館が合同で行った1993 年の調査では,モンゴル中南部のウカ・トルゴット(Ukhaa Tolgod)というところで 卵を抱いたオビラプトル(oviraptor)の化石が発見された。オビラプトルは非鳥類型 獣脚類恐竜というグループに属する。化石の記載を行ったジョージ・ワシントン大学のM. A. Norellら [1]によると、この恐竜化石は白亜紀初期の砂岩層に含まれており、少なくとも15個 の卵をうずくまるように抱いた状態で化石化したものだという。 卵を抱いて雛(ひな)を孵(かえ)すという習性は、現在の地球では多くの鳥類で認められる。鳥類は 体温を一定に保つ恒温動物(こうおんどうぶつ)であり、親鳥が卵を温めて雛(ひな)を孵(かえ)す種が多いが、 熱帯の砂漠気候では、強い日射から卵を守るために卵を抱く種もいるという。また、地上に巣をつくる種では外敵から 卵を守るために卵を抱く種もいるが、そうした種は例外的であると見なされる。鳥類 の系統樹からは、体温調節する機能と卵を抱くという習性が広く鳥類に共通するもの であることが示唆されている。 今回は獣脚類に属する恐竜も卵を抱いて雛を孵す習性をもっていたことを物語るも ので、鳥類特有の習性が鳥類の祖先とされる獣脚類恐竜の段階で獲得されたことを示 唆している。 [1] Norell, M. A., J. M. Clark, L. M. Chiappe, and D. Dashzeveg (1995) A nesting dinosaur. Nature, 378, 774-776. |
|||