理科教材データベース
岐阜大学教育学部理科教育講座(地学)
火星の大きさが変わるのは?

↑火星

その 01
火星は太陽系の惑星の一つです。
太陽系の惑星は太陽を中心にして楕円を描くように反時計回りで回っています。これを公転といいます。公転周期、つまり一周するのにかかる時間は惑星によって違いますが、太陽に近い惑星ほど短く、遠い惑星ほど長くなります。たとえば地球は約365日で一周しますが、もっとも太陽に近い水星は約88日、もっとも遠い冥王星では248.5年もかかります。詳しくは一番下の補足1を見てください。右の図ではこれらのうち、地球と太陽と火星の3つを取り上げました。形や大きさが変わって見えるのは火星の公転、大きさが変わって見えるのは地球と火星の位置関係が原因です。

その 02
火星が公転により移動すると、地球から近づいたり離れたりすることになります。そして近づいたときには大きく、離れると小さく見えます。これが火星の大きさが変わって見える理由です。右図ではBのような関係にあるときにもっとも大きく見えます。そして@やDのようなときには非常に小さく見えます。これは金星も同じです。しかし火星は金星と違って形が変わることはありません。これは、金星が地球よりも内側を回っているのに対して、火星が地球よりも外側を回っているためです。
この大きさが違って見えることが、火星や金星などの惑星が公転していることの何よりの証拠といえます。

その 03
火星の写真から黒や白の模様があることがわかるかと思います。これらの模様のうち、黒いものは火星の地形など、白いものは『極冠』と呼ばれるものです。この『極冠』は氷か、ドライアイス(二酸化炭素が凍ったもの)だといわれています。
こうした模様が移動しているように見えるのは、火星自体が回転している、つまり自転しているためです。火星の自転周期、すなわち1回転するのにかかる時間は、地球とほぼ同じで約1.026日です。これも他の惑星によって違いがありますので詳しくは一番下の捕捉2を参照してください。

補足1:各惑星の公転周期
水星
金星
地球
火星
木星
土星
天王星
海王星
冥王星
87.97日
224.7日
365.24日
686.98日
11.86年
29.46年
84.0年
164.8年
248.5年

補足2:各惑星の自転周期
水星
金星
地球
火星
木星
土星
天王星
海王星
冥王星
58.65日
243.02日
0.9973日
1.026日
0.414日
0.444日
0.718日
0.671日
27.32日