神酒の海
2003年01月24日更新
月の名所案内です。
月齢が6日になるとようやく晴の海が朝を迎える。その南側には靜の海、さらに神
酒の海がくっきりと輪郭を見せている。神酒の海の西にあるアルタイの断崖では、早
朝の日差し照らしだされるように斜面が一際明るく輝いてみえる。
神酒の海は不規則な輪郭をもつさしわたし350kmの低地である。ここでも天体衝
突でできた巨大なクレーターに玄武岩質の溶岩が流れ出した。神酒の海の南縁にある
フラカストリウスの内部にまで溶岩流は流れ込んでいる。
アルタイの断崖は神酒の海を取り巻くようにできている。この断崖が神酒の海を中
心に同心円的な分布をしている。このことは、断崖がこのクレーターをつくった衝突
でできたことを物語っている。
アルタイの断崖を側方に追いかけていくと、その末端にくっきりとしてクレーター
がある。直径89kmのピコロミニだ。これは中央丘をもつ形の整ったクレーターであ
る。
神酒の海の西縁には、カタリナ、キュリルス、テオフィルスといった大きなクレー
ターが並んでいる。アポロ16号は、テオフィルスの西300kmのところに軟着陸した
。持ち帰られた岩石の分析の結果、神酒の海は39億2000万年前に形成されたものと推
定された。
月齢19日。再びアルタイの断崖を眺める絶好の時が巡ってくる。今後は、沈む夕日
がつくるシルエットにアルタイの断崖が浮かび上がって美しい。