虹の入江
2003年01月21日更新
月の名所案内です。
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「めぐり逢いて 見しやそれとも 分かぬ間に 雲隠れし 夜半の月かな」(紫式部
「百人一首」)
久しぶりに会えた幼なじみがすぐ帰ってしまった名残惜しさを、雲に隠れてしまっ
た10日の月で比喩的に表現した優雅な歌である。
半月を過ぎ、丸みを帯びた10日の月。月面と宇宙の闇の境で、山脈に抱かれた「虹
の入り江」が朝を迎える。クレーターの外輪山が宝石の弧のように輝きを増すと、や
がて入り江にも光が差し、溶岩平原のしわが浮き彫りになる。
「虹の入り江」とは、その美しさにふさわしい命名ではないか。月の地形に初めて
名前をつけたのは、17世紀に地図を作ったラングレヌスという学者。月の名所には、
ニュートンやパスツールら高名な学者の名前も連なっている。
「虹の入り江」をとりまくジュラ山脈。雨の海へせり出した2つの岬は、東側がラ
プラス岬、西側がヘラクリデス岬。
ジュラ山脈の上にできた新しいクレーターは、ビアンキニ(直径39km)。