理科教材データベース
岐阜大学教育学部理科教育講座(地学)
土星の衛星エンケラドスの顔


カッシーニ/ホイヘンス計画の成果


図0(1981) 図1(2005.2.17) 図2(2005.2.17) 図3(2005.3.09)




 2004年に土星に到達した土星探査機カッシーニは,次々と土星,衛星,リングなどの探査を行っている.
エンケラドスの表面は,1981年のボイジャー1号,2号の探査でも注目された.この衛星は半径250kmに過ぎな
いが,一方の面は滑らかで割れ目と考えられる線状構造が多数刻まれていたが,反対側の半球は無数のクレー
ターで覆われていた.滑らかな半球は,内部が融解して液体が流れ出してできたと考えられ,熱源としてイオ
と同様,潮汐加熱が作用したのではないかといった説が提案されてきた.今回の探査で,滑らかな表面がいつ
どのように形成されたのか.割れ目のような構造はどのように形成されたのか解明が進むものと大きな期待が
寄せられていた.
図1は,2005年2月17日に撮影されたエンケラドスの表面の割れ目の様子である.この写真は,距離1180kmの地点
から撮影された.この写真には,横70km,縦84kmの範囲が撮影されている.この写真の上部にある深くて大きな割
れ目は指し横幅が1kmもある.また,中央部に黒いしみのようなものが帯状に配列していることがわかる.
さらに,3月9日には衛星エンセラドスに接近し,クレーターに覆われた半球の表面の様子を地球へ送っ
てきた(図3).いくつかのクレーターは,割れ目が形成されてから形成されたことが読み取れる.
画像提供=NASA/JPL/Space Science Institute.