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化石[3] シカマイア
~おばけ二枚貝~

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【豆知識】

大垣市赤坂町の金生山は,美濃帯堆積岩類を構成する石灰岩の山塊であり,一部は大理石になっている.大理石は,石灰岩が熱の影響で結晶化して同じ成分 (CaCO3) からなる方解石の集合体に変わったもので,一般には結晶質石灰岩という.これらの中には,数mm~1cmほどのフズリナ化石をはじめとして,二枚貝,巻貝などの多くの貝類化石,ウミユリ,サンゴ,三葉虫などの海生の動物化石が多く含まれている.なかでもフズリナは古生代のペルム紀を中心に世界的に栄えた有孔虫の仲間で,ここでのフズリナの研究は明治時代からすすめられ,日本における示準化石として使われるようになっている.
金生山から産出する石灰岩や大理石は石材としても広く使われ,最も近い場所として大垣城の石垣に使われている.岐阜市の岐阜総合庁舎 (旧県庁舎) は1924年 (大正13年) に完成した県内最古の鉄筋建築物であり,大量の石材が使われている.それらのうち,とりわけ玄関の壁面,階段,欄干に金生山の大理石が使われている.現在,国内産の大理石は石材としてほとんど採掘されていないこともあり,この建物の大理石は大量の化石を含むきれいな研磨面が観察できる点でもたいへん貴重なものである.それらのなかには,全長1m近くにも達する大きさのシカマイアと呼ばれる巨大な二枚貝化石がみられる.この化石は大きすぎて単独に分離できず,切断面しか見ることができなかったため,当初は所属不明の化石とされていたものである.その後の研究で形態などが復元されつつあるが,現存する二枚貝にはこれほど大きなものは少なく,大きさだけでも“お化け二枚貝”といえる化石であり,その詳しい生態などはほとんど明らかになっていない.

【関連項目】 岩石・鉱物[7] 美濃帯堆積岩類
資源・温泉[1] 石灰石

【キーワード】 岐阜総合庁舎,金生山,サンゴ,石材,シカマイア,示準化石,石灰岩,大理石,二枚貝化石,フズリナ

【関連文献】
Ozaki,K.(1968) Problematical fossils from the Permian limestone of Akasaka, Gifu Prefecture. Sci.Rept., Yokohama National Univ., no.14, 27–34.

【余談】
シカマイアの実物化石をみると,とても二枚貝というイメージは浮かんでこない.破壊された牡蠣の巨大な殻が岩石中に散らばっているという印象である.それから二枚貝の形を想像するにはそれなりの時間と鍛練が求められるのであろう.二枚貝といったらせいぜいホタテ貝ぐらいまでの大きさが限度であり,それ以上になると本当に貝なのかと疑いたくなる.

『学習テーマ』
中学1年「大地の変化 (地層と大地の歴史) ―化石 (古生代)


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