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岩石・鉱物[1] 日本最古の岩石
~20億年と2億年~

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【豆知識】

われわれが住んでいる地球は約45.5億年前に誕生した.それ以来,地球はいろいろな形で運動を続けて現在に至っている.その結果としてできあがった大地の上でわれわれは生活している.そうしたなかで日本列島で見つかっている最古の岩石は約20億年前という年代値をしめす変成岩である.それは2ヶ所で見つかっており,1つは島根県の隠岐島後で,もう一つは七宗町上麻生付近を流れる飛騨川の河床である.変成岩は,既存の岩石が高圧下あるいは高温下に置かれて変化させられてできた岩石であり,七宗町の岩石は花崗岩が変化してできたと思われる珪長質片麻岩と呼ばれる岩石である.
七宗町の飛騨川ぞいでは,美濃帯堆積岩類を構成するチャート,砂岩,泥岩などの地層が切り立った崖をつくり,これらは中生代の三畳紀~ジュラ紀 (約2億4000万~約1億6000万年前) に形成されたものである.その間に上麻生礫岩と呼ばれる礫岩層が挾まれて分布し,その中の礫として含まれる片麻岩礫が約20億年前という年代値を示す.上麻生礫岩の上下にある地層は,その表面に残された当時の水流の方向 (古流向) から推定して北方から供給されたことがわかっており,上麻生礫岩の礫も同様に北方の大陸から運ばれてきたものと考えられている.すなわち,約20億年前に当時の大陸地域に分布していた岩石が2億年ほど前に礫として運ばれて,砂や泥などとともに当時の海域に堆積したものである.注意しなければならないことは,上麻生礫岩が約20億年前に形成されたのではないことである.岐阜県下では,片麻岩のような岩石は北部の飛騨帯と呼ばれる地帯に飛騨片麻岩類として分布するが,それらの中からは20億年という古い年代値を示すものはまだ見つかっていない.

【関連項目】 岩石・鉱物[5] 飛騨片麻岩類

【キーワード】 隠岐島後,上麻生礫岩,古流向,最古の岩石,20億年前,飛騨帯,片麻岩

【関連文献】
Adachi,M(1971) Permian intraformational conglomerate at Kamiaso, Gifu Prefecture, central Japan. Jour.Geol.Soc.Japan, 77, 471–482.
足立 守・水谷伸治郎 (1971) 美濃帯古生層のsolemarkingsと古流系について.地質学論集,6号,39–48.
Shibata,K. & Adachi,M.(1974) Rb‐Sr whole rock ages of Precambrian metamorphic rocks in the Kamiaso conglomerate from central Japan. Earth Planet.Sci.Letts., 69, 1207–1214.
木戸 聡 (1982) 岐阜県七宗町上麻生における三畳紀チャートとジュラ紀珪質頁岩の産状について.大阪微化石研究会誌特別号,5, 135–151.

【余談】
上麻生礫岩の近くに「日本最古の石博物館」がある.もちろん上麻生礫岩に因んで建設されたものである.宇宙船のような外観にあわせて,内部では“レッキー君”がタイムスリップの旅に案内してくれる趣向になっている.現場で片麻岩礫の実物が見えなくなってしまっていることもあり,“レッキー君”の任務は大きい.

『学習テーマ』
日本列島の形成


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