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火山[3] 大日ヶ岳・烏帽子岳火山岩類
~郡上火山群~

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【豆知識】

御嶽山,乗鞍岳,焼岳乗鞍火山帯と呼ばれる火山帯に属する火山である.日本列島には,このほかにもいくつかの火山帯がある.それらは必ずしも特徴的な性質をそれぞれに持っているわけではなく,どちらかといえば帯状に分布するという地理的な区分に力点がおかれた名称である.乗鞍火山帯が岐阜県の東端にあるとするなら,西端にも火山岩類でつくられた山体が帯状に分布する.長良川の上流域にある鷲ヶ岳 (標高1672m) から大日ヶ岳 (標高1709m) ,その北西側の福井県内へかけて願教寺山,経ヶ岳といった山々が北西–南東方向に並び,全体として九頭竜火山列と呼ばれる.
長良川の源流とされる大日ヶ岳は大日ヶ岳火山岩類で,その南東側の鷲ヶ岳と烏帽子岳 (標高1625m) は烏帽子岳火山岩類でそれぞれつくられた山体である.これらの山体はそれぞれに立派な火山体のようにみえ,そのまま大日ヶ岳火山,鷲ヶ岳火山とでも呼びたくなるが,火口にあたるようなものはみられず,溶岩流の流れた様子がわかるような地形もまったく示さない.これらの山体は,御嶽山乗鞍岳よりもあきらかに一桁古い,約100万~160万年前に起こった火山活動でもたらされた火山体が浸食され,その残骸をみているような状態にある.ただ,大幅に浸食されたわけではなく,古い火山体の輪郭をおおよそ残した山体ということになる.この地域では新しい時代の噴火活動がなかったために,それらに覆われることなく火山体が浸食されたが,北アルプス地域などとくらべて隆起量の少ない地域であったため,浸食量が少なくて済んだことも幸いしているようである.火山列という用語は火山帯よりも規模の小さな帯状分布に対して用いる言葉であるが,個々の山体が火山体でないので火山列という用い方は控えた方がよさそうである.もちろん火山帯とも呼べないから郡上火山群とでも呼んでおく.

【関連項目】 なし

【キーワード】 烏帽子岳,烏帽子岳火山岩類,郡上火山群,九頭竜火山列,大日ヶ岳,大日ヶ岳火山岩類,乗鞍火山帯,鷲ヶ岳

【関連文献】
東野外志男・長尾敬介・板谷徹丸・坂田章吉・山崎正男 (1984) 白山火山及び大日ヶ岳火山のK‐Ar年代.石川県白山自然保護センター研究報告,10号,23–29.
清水 智・山崎正男・板谷徹丸 (1988) 両白?飛騨地域に分布する鮮新?更新世火山岩のK‐Ar年代.岡山理科大学蒜山研究所研究報告,14号,1–36.

【余談】
火山も少し古いだけで主人公になれないのは人間の世界と似ているが,元の形を変えてしまうほど大地の削剥は激しいものと考えるべきであろう.景勝地では “太古から変わらぬ姿を見せている”などといった宣伝文句がみられるが,それは願望であって,実際は“変わり果てた姿を見せている”場合が多い.

『学習テーマ』
古い火山体


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