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木曽川は,美濃加茂市において本流に匹敵するほどの支流である飛騨川と合流します。どちらの河川も飛騨山脈(北アルプス)から流れ出ています。飛騨山脈は,木曽山脈(中央アルプス)や赤石山脈(南アルプス)とともに急峻な地形をなし,日本列島において有数の隆起地帯にあたっています。
「出る杭は打たれる」ように,隆起すればするほど削られていきますから,隆起量が大きいことはそのまま削剥(浸食)量が大きいことを意味しています。すなわち,木曽川上流地域は削剥量の多い地域となります。 |
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木曽川の上流から中流にかけての地域には花こう岩が広く分布しています。長良川や揖斐川の流域にはそれがほとんど分布していません。木曽川流域では,マサ化した花こう岩が大量の砂粒(土砂)を用意しており,それらが浸食されやすい地域に分布していますから,大量に削られた土砂が木曽川によって下流へ運び出されています。 |
濃尾平野の地形区分(井関,1985を簡略化) |
木曽川の流れに乗った土砂は,途中で大規模に堆積する場所を持たないまま,濃尾平野まで運搬されてきます。濃尾平野では,流速の低下にともなって粗いもの,重いものから順に堆積していきます。それに応じて,最初に扇状地を,その下流側には自然堤防を,そして流れが止まる河口付近には三角州(氾濫低地)をそれぞれ形成します。長良川や揖斐川の流域でも同様の地形構成になっていますが,それらに比べて木曽川が作った扇状地は大きく,自然堤防の分布密度も高くなっています。これは,木曽川がそれだけ多量の土砂を供給していることを示しています。 |