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岩石・鉱物[13] 苗木ペグマタイト
~マニアに熱い視線を送られて~

 
 
  
【豆知識】

マグマは温度の低下とともに結晶を作って固化していくが,結晶中に納まらない元素は最後まで液体中に残されていく.花崗岩質のマグマではH2Oなど揮発性成分,イオン半径の大きい元素,他の元素と結びつきにくい希元素などがマグマの最終残液に濃集していく.液体や気体はマグマの上部に集まる傾向があるから,マグマ溜りの天井部で固体となった場所に一定の空洞を作ることになり,その中はゆっくりと冷えて大きな結晶を成長させることができる自由な空間となる.そうした空洞を晶洞といい,そこで大きく成長した結晶の集合体をペグマタイト (巨晶花崗岩) という.ペグマタイトでは,花崗岩をおもに構成する鉱物である石英 (水晶) や長石類,黒雲母などが数cmの大きさに成長し,その間に,残液などに濃集した元素がつくる珍しい鉱物,場合によっては新種の鉱物を成長させることがある.
木曽川を挟んで恵那市街地や中津川市街地の対岸にあたる蛭川村,福岡町,中津川市苗木地区には苗木花崗岩が広く分布し,それを石材として切り出している採石場が数多く分布する.ここでは,覆っていた濃飛流紋岩が削りとられてバソリス状の大きな岩体の天井部が露出している状態にあるため,均質塊状の花崗岩中に数cm~数十cmの大きさのペグマタイトを島状に多数みることができる.ここでのペグマタイトはおもに大きな石英や長石類で構成され,その中にトパーズや螢石,緑柱石などの珍しい鉱物をしばしば含む.石英は放射性元素の影響で暗灰色ないし黒色になっており,煙水晶と呼ばれる.こうしたいろいろな鉱物が得られることから,滋賀県の田上地域,福島県の石川地域と並んで日本三大鉱物産地として,鉱物マニアから熱い視線を送られる地域となっている.

【関連項目】 岩石・鉱物[2] 苗木・土岐花崗岩

【キーワード】 晶洞,苗木花崗岩,日本三大鉱物産地,ペグマタイト,マグマ残液

【関連文献】
柴田秀賢 (1939) 美濃国恵那郡苗木地方の花崗岩類及びペグマタイト.地質学雑誌,46,465–480,503–518,554–59,583–593.

【余談】
「残り物には福がある」という.ペグマタイト中の鉱物は典型的な残り滓の産物であり,やはり“福”なのであろう.しかし,単なる残り物ではない.かなり徹底的に仲間はずれにされた残り物である.何をもって“福”とするかは自然界の問題ではなく,人間界の問題であろう.

『学習テーマ』
中学1年「大地の変化 (火山) ―火成岩,鉱物


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