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景勝地[8] 宇津江四十八滝
~硬く均質な岩石を削る~

 
  
【豆知識】

滝というのは,流路の途中で河床面の高さに段差がある場合に,そこを水が勢いよく流れ落ちる状態を指している.支流から本流への合流点,浸食に対する抵抗力に差異がある場所,断層崖など,河床面に段差を生じる場面はいろいろある.多くの滝はおおよそ垂直あるいはかなりの高角度の斜面を落ちているが,その角度が緩やかになっても滝と称することがある.その場所に対する上・下流側の状況も大きく影響し,それを見た人間が何かを感じ取ったり,由緒・伝聞があったり,自然科学とは別の要素がからむことも多い.単に急流とか渓流と呼ばれてもおかしくないものも含まれている.傾斜がなくても一枚岩の岩盤上を水が勢いよく雨どいの中のように流れても“ナメ滝”と称することもあるし,大陸地域の河川からみれば日本の河川はすべて滝であると表現する人もいる.
国府町の宇津江四十八滝は,全長1kmにも満たない谷間に大小13個以上の滝が連なっており,垂直に落ちる“瀑布”とはまったく異なる滝のイメージをもつ風景が楽しめる景勝地となっている.この滝をつくる岩石は濃飛流紋岩溶結凝灰岩であり,全体が硬くて緻密,均質な岩石からできている.その中では岩石の硬軟差はほとんどなく,大きく地形的落差を作るような材料はまったくない.このため,岩石中にできた割れ目や小規模な断層などの弱くなった部分が少しずつ侵食されて強調され,それが通常の谷筋の中に連続的に表われて“滝”を作っている.ここでは落差の大きい1本の滝にはなれない運命にあるが,滝とは別に,水に洗われた青緑色をなす岩石の美しさも景勝地としての価値を高めている.

【関連項目】 岩石・鉱物[4] 濃飛流紋岩

【キーワード】 宇津江四十八滝,滝,濃飛流紋岩,溶結凝灰岩

【関連文献】
濃飛流紋岩団体研究グループ (1979) 飛騨古川~御母衣湖地域の濃飛流紋岩―濃飛岩体北部地域における東西地質断面―.地質学論集,17号,165–176.

【余談】
“いろは四十八 (文字) ”という言い方は多数を意味するときに使う.日光のいろは坂も道路のカーブが多いことを表わし,厳密に48ヶ所のカーブがあるわけではない.宇津江四十八滝も同じである.数の概念は国や文化によって異なるようであるが,日本では“1, 2, 3, ……,48”までいくようであるが,“1, 2, たくさん”というところもあると聞く.

『学習テーマ』
中学1年「大地の変化 (地層と大地の歴史) ―浸食


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