南方振動の発見


タヒチ (太平洋東部) とダーウイン (太平洋西部) の大気圧の経年変化。両者の間には顕著な逆相関がある。この2点の気圧差は現在,南方振動指数SOI(southern oscillation index)として使われている。
(by Diaz and Kiladis 1992; from 川上紳一. 縞々学 リズムから地球史に迫る. 東京, 東京大学出版会, 1995. p.45)

1951年1月から1993年8月までの南方振動指数 (上図解説参照) と東太平洋での海水温差の偏差。マイナスのときがエル・ニーニョ,プラスのときがラ・ニーニャ。

ジャカルタ (インドネシア) の大気圧変動と,世界各地の気圧変動の相関係数を地図に示したもの。南方振動が全地球にまたがる現象である。
(by Berlage 1957; from 川上紳一. 縞々学 リズムから地球史に迫る. 東京, 東京大学出版会, 1995. p.44)
1897年,太平洋を隔てたオーストラリアのシドニーとアルゼンチンのブエノスアイレスの大気圧の変動に,規則性が見つかった。この2ヶ所の気圧はまるでシーソーのように,一方の気圧が高くなると他方の気圧が低くなり,気圧の変動は約2年の周期で規則的に変動していた。これはシドニーとブエノスアイレスに限らず,広い範囲で認められることがその後に明らかになった。
インドに滞在していたウォーカー卿は,この現象を南方振動と名づけた。19世紀末にたびたび干ばつや洪水による被害を目の当たりにしたウォーカー卿は,その原因であるインド・モンスーンの変動に関心を抱いた。そして,その変動を解明する目的で世界各地の気象データにみられる相関関係を詳細に調べた。
参考文献
川上紳一. 縞々学 リズムから地球史に迫る. 東京, 東京大学出版会, 1995.

© 2002 Gifu University, Shin‐Ichi Kawakami, Nao Egawa.