┗┣木星型惑星の特徴
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木星型惑星の特徴
実験とモデルによる,木星型惑星の大きさ・質量・組成の関係。 黄色い曲線は,木星型惑星の組成が太陽と同じ (水素とヘリウム) と仮定した時の質量‐半径関係。同様に,青い曲線は水,赤い曲線は岩石。 木星・土星はほとんど水素とヘリウムだが,天王星・海王星は多量の水か岩石を含むことがわかる。
(Beatty, J. K., et al., ed. The New Solar System. 4th ed. Massachusetts, Sky Publishing Corporation, 1999. p.194)
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木星型惑星は,地球型惑星とは大きく性質が異なる。木星型惑星は,質量は大きいが,密度は小さく,厚い大気がある。木星・土星・天王星・海王星の質量は,それぞれ,地球の318倍・98倍・14.5倍・17.2倍である。これらの天体の半径と質量の関係を図に示す。木星,土星は,おもに水素とヘリウムでできているが,天王星,海王星は氷や岩石の核があり,水素,ヘリウム,メタンなどからなる厚い大気で覆われている。
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水素の相図。 黒丸●は,実験で明らかになった,水素が金属化する気圧・温度。 木星・土星の気圧・温度では,水素は金属化する。
(Beatty, J. K., et al., ed. The New Solar System. 4th ed. Massachusetts, Sky Publishing Corporation, 1999. p.196)
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図はこれらの天体内部の温度と圧力曲線である。木星,土星の内部物質は高圧下におかれているため,水素は金属化していると考えられる。一方,天王星と海王星の内部にある水素は,液体状の水素である。
木星型惑星には,強い磁場が存在する。木星の磁場の強さ (双極子モーメント) は地球の2万倍,土星は600倍である。天王星と海王星の双極子モーメントは,それぞれ地球の50倍,25倍だが,双極子の軸は,惑星の自転軸から大きくずれている。
これらの天体から宇宙空間に放出される放射エネルギーは,太陽から受け取るエネルギーより大きく,その差に当たるエネルギーは天体が重力収縮するときのエネルギーでまかなわれている。
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木星型惑星の大気
木星は,地上の望遠鏡による観測が300年以上にわたって続けられた。木星の縞模様は地球からでもはっきりと見え,明るい縞はゾーン,黄色みがかった縞はベルトと名づけられた。また,木星の南半球には直径が地球の4倍もある巨大な渦があり,大赤斑と名づけられた。1979年,ヴォイジャー1号の木星探査によって,木星大気の複雑な流れが明らかにされた。
地上の天体望遠鏡で土星・天王星・海王星の表面を観察すると,コントラストがほとんどなく,特徴的な模様は認められなかった。1980年代のヴォイジャーによる探査によって,土星や海王星にも激しい大気の擾乱が存在することが明らかになった。また,大気組成も,太陽から遠い惑星ほどメタンやアンモニアの存在度が高くなることが明らかになった。
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土星の環のスケッチ。 a: カリレオ (1610)・d: リッチオリ (1648) b: ガッセンディ (1634)・e: ホイヘンス (1655) c: フォンタナ (1646)・f: カッシーニ (1676)。
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1610年,手作りの望遠鏡を土星に向けたガリレオ [解説]は,土星の両脇にくっついた2つの衛星を発見した。その後,その衛星は,円盤状のリングであることが明らかになった。マクスウェル [解説]は,ケプラー運動する多数の粒子が集まってリングができていることを理論的に示した。土星のリングには隙間があり,大きなものはカッシーニの空隙・エンケの空隙と名づけられた。1981年,土星を探査したヴォイジャーの画像は,土星のリングが無数の細い糸状のリングレット (細いリング) の集まりであることを明らかにした。
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天王星の環の発見。 1977年3月10日,恒星SAO158697が天王星に隠れた (星食) が,その前後,未知の天体による食が起こった。
(Beatty, J. K., et al., ed. The New Solar System. 4th ed. Massachusetts, Sky Publishing Corporation, 1999. p.229)
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リングのある惑星は土星だけではない。1977年,天王星の星食 [解説]が起こった。カイパー航空天文台 [解説]は,この星食をインド洋で観測した。その結果は,星からやってくる光が間歇的に弱くなっていた。これは,天王星をとりまく天体によって星の光が遮られたためである。しかも,星食のはじまりと星食のおわりで,光度変化は時間対象だった。このことから,光を遮った天体は天王星のリングだと解釈された。実際,1986年のヴォイジャー2号の探査で,天王星を取り巻く糸状のリングが確認された。
1977年の天王星のリングの発見からまもない1979年,ヴォイジャーの木星探査によって,木星にもかすかなリングが存在することがわかった。木星のリングはきわめて希薄なので,リング粒子によって後方散乱された散乱光の観測で見つかった。木星のリングは,木星の衛星に天体が衝突して飛び散った放出物が木星のまわりを取り巻いているのではないかという見解がある。
1989年,ヴォイジャー2号の海王星の探査でも,海王星を取り巻く細いリングが発見された。細い糸状のリングは,力学的に不安定であり,時間が経つと散らばってしまう。にもかかわらずリングレットが細い糸状の構造を保るとすれば,粒子が散らばらない力学的作用を与える衛星がリングレットを挟んでいなければならない。ヴォイジャー1号は,予想どおり,海王星のリングの両側に小さな衛星を発見した。これらの衛星は,羊の世話をする犬にたとえて,羊飼い衛星と呼ばれる。
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発見年 |
発見者 |
名前 (内側から) |
主成分 |
木星の環 |
1979 |
ヴォイジャーⅠ |
主環・副次環・ハロー |
岩石の微粒子 (数μm) |
土星の環 |
1655 |
ホイヘンス |
D・C・B・A・F・G・E |
水の氷(数mm–数m) |
天王星の環 |
1977 |
エリオットら |
1986U2R・6・5・4・α・β・η・γ・δ・1986U1R・ε |
水の氷 ? |
海王星の環 |
1989 |
ヴォイジャーⅡ |
1989N3R・1989N2R・1989N4R・1989N1R |
水の氷 ? |
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© 2002 Gifu University, Shin‐Ichi Kawakami, Nao Egawa.
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