冥王星は,9番目の惑星の発見を夢見たローウェル [解説]の後を継いだトンボー [解説]が1930年に発見した。以後,継続的に観測しても,この天体の性質はほとんどわからなかった。1976年になって冥王星の表面にメタンが存在することが明らかにされた。さらに,1978年になると冥王星にも衛星カロンが発見された。この発見によって,冥王星が6.4日で自転していること,衛星も同じ周期である6.4日で公転していること,さらにこれらの天体の大きさや質量までも見積もることができた。
冥王星の軌道は大きくゆがんだ楕円軌道であり,1979年から1999年までは,海王星より内側に位置していた。半径は1150 km,密度は2.1g⁄cm³で,物理的性質は海王星の衛星トリトンとよく似ている。表面を覆る物質も窒素やメタンの氷であり,化学組成もトリトンとよく似ている。
トリトンの軌道は多くの衛星と異なって逆行回転をしている。惑星形成と同時に形成された衛星ではそういうことはありえないので,トリトンは,太陽のまわりを公転していた天体が偶然海王星に捕獲されたものだろう。
このことから逆に,冥王星は本来は惑星ではなく,海王星の衛星だった天体が海王星の重力圏から飛び出したという説も,以前はあった。しかし,海王星と冥王星の運動を詳細に調べると,この2天体がかつて近づいたことは無いようである。
その後に,海王星軌道の外側に多くの小天体が発見され,エッジワース‐カイパー・ベルト天体と呼ばれるようになった。冥王星・カロン・トリトンは,その一員だったのだろう。
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