岐阜の地学  資源・温泉  帰雲山大崩壊  ウラン鉱床

資源・温泉[1] 石灰石
~数少ない無尽蔵資源~

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【豆知識】

日本は地下資源に乏しい国であり,経済的に採算のあう鉱山はほとんど期待できない.何とか採掘されていた鉱山も次々と閉山に追い込まれ,国内唯一の稼動金属鉱山であった神岡鉱山も2001年6月に閉山した.ただし,これは地下資源を金属資源や燃料資源に限った場合にあてはまることであり,別の資源をみると話は変わってくる.大地をつくる岩石そのものも立派な地下資源であり,大地から岩石を切りだし,そのまま利用する石材は無尽蔵といってもよい地下資源となる.人類が最初に使った地下資源は“石器”としての石材であろう.ただし,石材といえども,加工の容易さ,強度,視覚的な外観など求められる岩石の諸性質が用途に応じて異なるため,実際に利用される岩石は限られてくる.さらには,その搬出条件も利用に大きく影響する.
金属資源や燃料資源は,特定の成分に着目し,それが濃集している部分を採取することで利用している.それと同じ理屈で,岩石自体が特定の成分だけで構成されていると,石材とは異なる形で岩石そのものを資源として利用できる.その代表例が石灰石である.石灰岩は,おもに炭酸カルシウム (CaCO3) 成分からなる海中の生物 (サンゴ虫など) の死骸が海底に積もってできた岩石であり,これをセメントや肥料などの材料として利用するとき石灰石と呼ぶ.石灰岩は,その形成過程からどこにでも分布するわけではなく,岐阜県下でも美濃帯堆積岩類中の限られた地域にしか分布しない.しかし,代表的な石灰石の産地である大垣市赤坂の金生山をみればわかるように,これまで採掘しつづけてきて,山の形状が変わる程度の変化は生まれても,無くなる気配はまったくない.岩石自体を利用できる地下資源は限られるが,その量は無尽蔵といってもよい.

【関連項目】 化石[3] シカマイア
景勝地[12],岩石・鉱物[1] 日本最古の岩石
岩石・鉱物[12] さざれ石

【キーワード】 赤坂金生山,神岡鉱山,石材,石灰岩,石灰石,地下資源,無尽蔵資源

【関連文献】
山本博文 (1983) 根尾南部地域および伊吹山地域の美濃帯中・古生層.地質学雑誌,91,353–369.

【余談】
石灰岩は化石の宝庫である.フズリナ,ウミユリ,サンゴなど,なじみのある化石がしばしば含まれている.外国産のものにはアンモナイトなどが含まれるものもある.それが石材としても利用されていることが多いので,ビルの壁材などは絶好の観察場になる.値段のことはよくわからないが,どうもお金をかけたビルに石灰岩が使われている傾向がありそうなので,その目で街の中を散策するのも楽しいことである.

『学習テーマ』
地下資源


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