【豆知識】
隕石は地球の外から飛来する物質であり,ほとんどは火星の軌道と木星の軌道の間にある小惑星帯から飛来してくる.一般に石質隕石,石鉄隕石,鉄隕石の3種類に大別され,石質隕石はさらにコンドライトとエコンドライトに分けられている.コンドライトは惑星誕生時の記録を保持した始源的隕石として位置づけられ,太陽系の起源を知るうえできわめて貴重な情報源となる.エコンドライトは惑星初期進化の産物であり,石鉄隕石や隕鉄とともに分化した隕石として位置づけられており,隕石母天体の初期分化の様子を知る貴重な情報源である.こうした隕石も陸上に落下しないと回収できないことになるが,これまでに発見・回収された隕石の数は約18,000個といわれ,そのうちの80%以上が南極大陸からのものである.大陸氷河の上に長期間にわたって降った隕石が海岸近くに運ばれて比較的狭い範囲に集められ,氷河が解けて表面に露出したものである.こうして集められた隕石を大量に保有していることで,日本は世界最多の隕石保有国となっている.
1909年 (明治42年) 7月24日に現在の美濃市を中心とする地域に隕石が落下した.この隕石は美濃隕石と呼ばれ,南西方面から飛来して現在の武儀郡や山県郡を含めた長径約13km,短径約5kmの楕円形の地域に多数にわかれて落下した.こうした雨のようにわかれて落下した隕石を隕石雨 (隕石シャワー) と呼ぶ.地球の大気に突入する際に分裂したものであり,隕石落下の形態として単体が落下する例よりも多い.美濃隕石では後で発見されたものだけで30個ほどあり,すべて同じ種類のエコンドライトであった.総重量は約13.5kgほどに達し,最大のものは当時の藍見村極楽寺に落下したことから藍見号と呼ばれ,約4kgほどの重さであった.