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火山[18] 枕状溶岩
~灼熱の溶岩が海水に触れる~

 
  
【豆知識】

熱い溶岩が水に接触して急冷破砕されて水中自破砕溶岩を形成するのは,溶岩よりも水のほうが少ない場合に起こりやすい.水のほうがたっぷりあると,溶岩の周囲に水蒸気の膜が形成されて水と溶岩の激しい反応ができなくなってしまい,まったく異なる現象を示す.とりわけ,流動しやすい玄武岩質溶岩が水のたっぷりある海中を流れると,その表面が真っ先に急冷されてガラス質の殻をつくり,まだ溶けた状態になっている中味が後ろから押されることで殻を破って流れだし,それが水によって急冷されて新しい殻をつくり,次々と丸みをもった形の塊を作りながら進んでいく.同じようなものは陸上でもみられ,空気に触れて表面だけ殻をもった類似の形を作りながら流れていく.これをハワイ語でパホイホイ溶岩と呼ぶ.丸みは粘性の低い溶岩の表面張力が作り出すものであるが,一方向へ押し出されながら作られていくから,球体ではなく,つぶれたイチジクの実のような形になる.これらがわれわれの目に触れるようになるのは過去の生成物が陸上で見えるようになったものに限られるから,削られた断面を見ることが多くなる.それらはつぶれた楕円体として枕を並べたようにみえることから枕状溶岩と呼ばれる.
岐阜県下において流動性に富む玄武岩質溶岩が海中を流れるという環境は最近の地層中ではまったく期待できない.美濃帯堆積岩類の一部としてかつての海洋底でつくられた玄武岩質火山岩類の中に期待できるだけである.実際に枕状溶岩がみられる丹生川村の山口谷では,暗緑色をした枕を積み重ねたような形がみられるが,その形成時期が古生代のペルム紀中~後期 (約2億5000万~約2億7000万年前) という古い時代であり,あまり明瞭な形でみられるわけではない.

【関連項目】 火山[17] 水中自破砕溶岩
岩石・鉱物[7] 美濃帯堆積岩類

【キーワード】 玄武岩質溶岩,水中溶岩,パホイホイ溶岩,枕状溶岩

【関連文献】
山田直利・足立 守・梶田澄雄・原山 智・山崎晴雄・豊 遥秋 (1985) 高山地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1図幅) ,地質調査所,111P.

【余談】
ハワイでは現在も玄武岩質溶岩の噴出が盛んに行なわれており,一部が周囲の海へ流れこむことがある.海へ流れこんだ瞬間の様子がかなりの危険を冒して水中カメラで撮影されたことがかつてあった.とらえた映像はそれだけ迫力のあるものであった.枕の先端から次々と灼熱の溶岩が水中に絞り出される様子はまさに生き物であり,それでいて驚くほど穏やかな光景であった.

『学習テーマ』
中学1年「大地の変化 (火山と火成岩) ―水中火山噴出物


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