左の写真と図は,岩石の円柱に両側から力を加え続けた場合にできるる割れ目のようすを示したものです.この割れ目は大きく2つの方向にわかれており,円柱内部では破断面 ( = ずれる面) を作っています.円柱を大地に見立ててやると,その破断面が断層にあたります.
この円柱が壊れる時には音がでます.それは,壊れた時に発生した振動が空気を振るわせて,それが音として耳に伝わるからです.この場合には壊れた時の振動を直接に感じることはできませんが,大地の場合にはそれを地震として体に感じています
人間もいろいろな方法で“ストレス解消”をしていますが,大地は断層を作って“ストレス解消”をしています.その時に出した“叫び声”が地震と考えればよいでしょう.「土地の変化」としてみると,単なるシグナルにすぎない地震ではなく,大地を変化させた断層のすがたを理解することが重要になります.『根尾谷断層』は濃尾地震によって形成されたのではなく,『根尾谷断層』が形成された時の振動が濃尾地震にすぎないのです.
大地の破断面にあたる平面を断層面といいます.大地に働く力は地表付近よりも地下の方で強いため,大部分の断層面は地下で形成されると考えられます.それが地表にまで達すると,地表では断層線として表わされます.
断層面がずれる量のうち,水平ずれ成分が垂直ずれ成分よりも大きい場合を水平ずれ (横ずれ) 断層,逆の場合を垂直ずれ (縦ずれ) 断層といいます.水平ずれ断層のうち,断層線の反対側が左にずれている場合は左ずれ断層,右にずれている場合は右ずれ断層と呼び,垂直ずれ断層のうち,断層面の上側 (上盤) が下がっている場合は正断層,上がっている場合は正逆断層と呼びます.
地表でみられる断層には,過去に地下で形成されたものがその後の地殻運動で地表までもたらされたものもあります.ずれ方が大きいために断層面が地表にまで達したものもあります.いずれも大地を変化させたものですが,「土地の変化」としては,目の前にある大地が断層により直接ずれることで変化する様子をイメージしていますから,地表にまで達した断層に注目する必要があります.それが活断層です.
「土地の変化」には直接関係しませんが,地震予知は多くの人にとって関心の高い問題です.ここでは災害との関係で活断層にかかわる地震予知の問題に限って触れておきます.