歴史的経緯

アッシャー大司教の推定

1654年,アイルランドのアッシャー大司教は,聖書の記録を忠実に遡り,神が天地創造をしたのは,紀元前4004年10月22日だと言った。

ハットンの斉一説

19世紀の終わりに,ハットンは “宇宙と地球の歴史は果てしなく長く,始まりも終わりもない” と考えた。そして地球表層で現在起こる現象は過去もずっと同じように起こってきたとする斉一説を提唱した。
彼は,イタリアの火山活動を目の当たりにし,1年間におこる地形の変化は小さく,地球の歴史が果てしなく長いことをに気づいた。しかし,これは聖書と矛盾していた。ハットンは, “聖書は比喩に過ぎず,創造主の理性は自然界に満ちあふれている” とする理神論の立場をとった。
ハットンの考えは,プレイフェアーとライエルへと受け継がれた。ライエルの 『地質学原理』 は,ダーウインに多大な影響を与えた。

ケルヴィンの方法

ケルヴィン1st Baron Kelvin(本名 William Thomson) 1824–1907 イギリスの物理学者は,熱力学の基礎を作った人物である。彼は,誕生したときに地球は溶融状態であり,徐々に冷却して現在に至ったと考えた。彼は,この問題を熱力学に基づき解析した。物体の冷却速度は,物体の大きさ・比熱・熱伝導率で決まる。その結果,地球の年齢は約2000万年となり,地質学者の見積もりと大きく食い違っていた。

© 2002 Gifu University, Shin‐Ichi Kawakami, Nao Egawa.