放射能の発見

1896年,ベクレル[解説]は,ウラン鉱石が写真乾板を感光させる能力を持つことを発見し,放射能と名づけた。
1903年,キュリー夫妻は,ラジウム試料が放射能により発熱することを発見した。まもなく,放射能は自然界にも存在しており,放射性物質が地球の熱源となることがわかった。
放射能の発見により,ケルヴィンの計算の前提が誤ることがわかった。しかし,地球内部の熱源を考えても,地球の年齢が太陽の年齢を超えるという問題は残っていた。
1930年代に,太陽のエネルギー源は,太陽中心部の核融合反応であることが発見され,地球の年齢のパラドックスは解決した。

地質学者の時計:地球の年齢を推定する


ウラン238の崩壊系列。
1902年,ラザフォードらは,放射性元素は放射能を出してほかの元素に変わっていくこと,その過程でヘリウムが放出されるという説を唱えた。
1906年,ラザフォードは,ウランとヘリウムの割合を調べることで,鉱物の年齢を測ろうとしたが,困難だった。一方同じころ,ウランが崩壊すると鉛になることがわかり,ウランと鉛の量比から鉱物の年齢が推定できると考えられた。
ホームズは,鉛がウランの崩壊の最終産物であることを証明した。また,どんな環境でも崩壊速度は一定であることを示し,地質学における年代測定の原理を確立した。
 ホームズの値 
 (単位:100万年)
   現在の値 
 (単位:100万年)
  0         0 
 更新世 
  1      1.6 
 鮮新世 
 12      5.1 
 中新世 
 26     24 
 漸新世 
 38     38 
 始新世 
 58     55 
 暁新世 
—      65 
 白亜紀 
127    146 
 ジュラ紀 
152    146 
 三畳紀 
182    245 
 ペルム紀 
203    290 
 石炭紀 
255    362 
 デボン紀 
313    418 
 シルル紀 
350    443 
 オルドビス紀 
430    490 
 カンブリア紀 
510    544 
 

© 2002 Gifu University, Shin‐Ichi Kawakami, Nao Egawa.