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化石[6] シジミ貝化石
~恐竜に踏みつぶされたか? ~

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【豆知識】

手取層群は,中生代のジュラ紀中期から白亜紀前期にかけての時期 (約1億8000万年~約1億2000万年前) に飛騨地方から北陸地方へかけての広い範囲に堆積した地層群である.恐竜化石ですっかり有名になり,しばしば動物化石が新たに発見されることもあって,岐阜県内では東濃地方に分布する瑞浪層群と肩を並べるほど化石を産出する地層としてその名が知れわたっている.
手取層群から恐竜化石が発見されはじめたのはそれほど古い話ではなく (1989年) ,それまでの産出化石の主役は貝類化石と植物化石であった.現在でも,どこでも万遍なくというわけにはいかないが,これらの化石は誰でもすぐに見つけられるほどたくさん含まれている.岐阜県内に分布する手取層群において代表的な化石産地としては,昔から荘川村の牛丸地区や御手洗地区が有名である.この地域には手取層群としては比較的下部にあたり,堆積環境が海域から湖沼域へ遷り変わる時期に堆積した地層が分布する.牛丸地区では,現在は御母衣ダムに水没してしまった庄川河岸から大量のシジミなどの汽水生貝化石が得られた.それらはそのまま運び出されて国道 158号線わきに展示されている.御手洗地区ではアンモナイトや二枚貝のイノセラムスなどの海生化石がみつかる.これらの化石が生息していた湖沼や海の中はもちろん恐竜の縄張りではないが,まったく同時期に恐竜が生息していたことは明らかであり,シジミ化石あたりが湖岸や海岸で恐竜に踏みつぶされていた可能性は大いにある.

【関連項目】 化石[5] 恐竜足跡化石

【キーワード】 アンモナイト,イノセラムス,貝類化石,恐竜化石,シジミ化石,植物化石,手取層群

【関連文献】
Hayami,I.(1959a) Late Jurassic hipodont, haxodont and dysodont pelecypods from Makito, Central Japan. Jour.Geol.Geography., 30, 135–150.
Hayami,I.(1959b) Late Jurassic isodont and myacid pelecypods from Makito, Central Japan. Jour.Geol.Geography., 30, 151–168.
前田四郎 (1952) 岐阜県庄川上流地域の手取統の層位学的研究.地質学雑誌,58,145–153.

【余談】
シジミは貝塚からも出てくることから,かなり古くから食用とされていた.とりわけ,その味噌汁は美味しくて,黄疸症状によく効く食品としても知られている.もちろん手取層群の時代には味噌汁は作れないが,恐竜にもシジミの味噌汁を飲ませてあげたら,などとくだらない空想をするのも楽しいものである.ところで,恐竜は生のシジミを食べたのであろうか.

【学習テーマ】 中学1年「大地の変化 (地層と大地の歴史) ―化石 (中生代)


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