能郷白山の南側斜面では,地形が急峻で,浸食作用が激しいために断層地形が残されにくくなります.濃尾地震とともに地震断層が出現したことにより,この地域にも活断層が走っているという意識で地形をみると,いくつかの鞍部地形の連なりを認めることができます.実際には,それらの位置とその途中で確認されている断層露頭を結ぶことで,左図のような断層線の位置を確定させています.
断層露頭は,藤谷口より能郷谷を2.5 kmほどさかのぼった地点の西岸支谷において松田(1974)により確認されています.そこでは北10゜西の方向にほぼ垂直の断層面があり,その東側にある崖錐堆積物が西側にある岩盤 (泥岩) に対して6 m以上低下しています.