図1. エディアカラ紀における生物の多様化。
(コンドンらの2005年の研究にもとづく)
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まず、コンドンらは、ナンツオ氷河堆積物からドウシャンツオ(Doushantuo)累層の境界部付近の2層準の火山灰層の年代を求めた。それらは、6億3500万年前と6億3200万年前という値であり、ナンツオ氷河堆積物がマリノアン氷河堆積物に対比され、この時代の氷河堆積物がほぼ同じ時代のものであるという見解が裏づけられた。
エディアカラ生物群化石の産出で特徴づけられるエディアカラ紀の始まりは、この氷河堆積物を覆う炭酸塩岩の堆積で定義されており、エディアカラ紀が6億3500万年前から5億4500万年前であったことになる(図1)。
問題は、この長いエディアカラ紀における生物多様性の変遷と地球環境変動の対応関係をどう見るかにある。まず全球凍結のあったマリノアン氷河時代が終わって5000万年近い時間の流れがあり、ガスキアース氷河時代の直後にチャルニアやランゲアのような化石産出が始まっている。だが、ガスキアース氷河時代は炭素同位体比の変動から推察されたもので、氷河堆積物の存在はほとんど知られていないものである。
コンドンらは、5億5100万年前の炭素同位体比の変動があったとし、これとキンベレラの出現と対応させているが、この解釈は議論の的になっている。この5億5100万年という年代値は、ドウシャンツオ累層を覆うデンギン(Dengying)累層の下部にはさまれている火山灰層のものである。ドウシャンツオ累層とデンギン累層の境界部は不整合になっているが、ドウシャンツオ累層最上部とデンギン累層最下部はいずれも炭素同位体比が負の値へとシフトしており、コンドンらは地層が堆積しなかった期間が短いと考え、炭素同位体比の変動が5億5100万年前のものであると解釈したのである。しかしながら、問題の不整合には相当の時間の経過があったとする対比も可能だという批判も出されている。
先カンブリア時代の地層のU-Pb法による年代測定によって、この時代の地層の層序に関する理解は急速に深まっている。化石の産出に関して興味深い点は、ハートゲンらが示唆した5億8000万年前に硫黄同位体比の分別の幅が大きくなり、大気や海水中の酸素濃度が増大したことが、時期的に対応していることである。
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