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資源・温泉[6] 珪藻土
~湖にたまった意外な資源~

 
 
  
【豆知識】

珪藻という植物は,その名のとおり珪酸 (SiO2) 成分の殻をもつ単細胞藻類であり,ほとんど非結晶の含水珪酸であるオパールからなる.植物と動物の違いはあるが,同じ成分からなる放散虫化石は堅固なチャートをつくるのに対して,棲息時期がほとんど新生代であることも関係して,珪藻が湖底や海底に堆積したものは堅固な岩石にはならず,珪藻土と呼ばれる.海成の珪藻土は珪藻以外のものを含む割合が多くなるため,淡水成の珪藻土の方が良質であり,ろ過材や研磨剤,あるいは保温材などに使われている.珪藻は石炭とともに植物化石を資源として利用している珍しい類に属する例である.
白鳥町阿多岐(あたぎ)には,新第三紀の鮮新世 (約500万~約200万年前) に形成された阿多岐層と呼ばれる地層が分布する.この地層は,烏帽子岳火山岩類をもたらした火山活動に関連して形成された湖に堆積したものであり,おもに凝灰岩層,凝灰質砂岩層,凝灰質泥岩層からなる.それらの中に淡水生の珪藻化石が含まれており,これらの地層の間にほとんど珪藻化石だけからなる珪藻土層も挟まれている.それらがかつてさかんに採掘されて,七輪をつくる原料などとして使われていた.しかし,最近ではこれらは採掘されておらず,珪藻土層を直接見ることはできなくなった.ただし,凝灰岩層などには珪藻化石が含まれているので,顕微鏡を使って容易にみつけることができる.

【関連項目】 なし

【キーワード】 阿多岐層,烏帽子岳火山岩類,化石資源,珪藻,珪藻化石,珪藻土,淡水生

【関連文献】
//松尾秀邦 (1970) 岐阜県美濃山地の鮮新世植物化石1–3. 日本化石集 ,15,88–90.築地書館.
Matsuo,H. (1968) A study on the Neogne plants in the Inner Side of Central Japan, II: On the Minoshirotori flora (Pliocene) of the palaeovolcano‐lake deposits. Ann.Sci.Kanazawa., 5, 29–77.
高橋清・下野洋 (1980) 岐阜県美濃白鳥湖成層産植物性プランクトンについて.長崎大学教養部紀要,22巻,**–**.

【余談】
珪藻にしても放散虫にしても,あるいはフズリナにしても,ほとんど単一の成分だけからできている生物である.それだけ単純と考えればいいのであろうが,考えてみると不思議である.しかし,複雑な有機物になってしまった生物よりも,あるいはその中でも単純な無機物でできている部分が,資源ばかりでなく化石などとしても役に立っているのは皮肉であろうか.

『学習テーマ』
中学1年「大地の変化 (地層と大地の歴史) ―化石 (新生代)
地下資源


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