金坂(かねさか)峠~川内(かわうち)

↑根尾谷地震断層のすがた

金坂峠~川内
本巣町金坂峠~川内地域における根尾谷地震断層の推定位置と変位確認地点
(1 / 2.5万地形図「美濃神海」を使用)

金原の東側山腹を伝わって金坂の中途に断層線が現れ,さらに金坂峠を越えて本巣町外山側の東麓に沿い』 (小藤) ,『長蔵寺を経て』 (別所) ,川内に至ります.川内では『畑において地盤は北側が低下し,北西へ約1.8 mずれた』 (小藤) .さらに東南へ進んで,『川内の南アガネ坂の北を通り,西ムネ峠 (奈古坂) を越え,池原にでる』 (小藤) .

1. 長蔵寺 (根尾谷22)

長蔵寺は金坂峠の南東,木倉の西方山麓にあります.別所(1967)によると,長蔵寺の後に裂溝があり,その南では寺の南面の細道を横断し,南側の杉の根元から数歩南西に溝状の断層線が昔ながらの姿でみられたといいます.しかし,現在はそれらの痕跡は認められません.

川内 / 公園
本巣町川内における「湯の古公園」の涌水池
(2002年11月撮影)

2. 川内 (根尾谷23)

断層線は,川内の南西側にある水田を横切り,その南東の山裾にある段丘状地形の付け根を越えたものと推測されています.その線上には湧泉をともなう大きな池がありましたが,そこは土地改良事業により公園として整備され,当時の様子を伝えています.

3. アガネ坂 (根尾谷24)

川内から南東の鹿穴峠へ向かう緩い上り坂がアガネ坂です.断層線はアガネ坂に沿う細い谷の底を通過しました.峠に近い長谷口 (南西の長谷へ出る山道の分岐点) の谷底で,旧道にほぼ平行する長さ100 mの地溝があり,その南西側が北東側より1 m高くなったとされていますが,現在ではこの地溝地形はわかりません.この変位が根尾谷地震断層沿いの最南端にあたるとされています.

4. 奈古坂 (根尾谷25)

川内の東方で「岐阜本巣ゴルフ場」が広がる大きな谷の最上流部の水田を名古屋新田といい,その北側にある山県市伊自良村に通じる峠道を奈古坂 (名古屋坂) といいます.
『アガネ坂の北を通り,西ムネ峠 (奈古坂) を越え』は,アガネ坂から奈古坂へ断層線がつながっているように記していることになりますが,そうした証拠はなく,奈古坂付近からは梅原地震断層が雁行して出現したと考えられています.
⇒根尾谷断層 (南東部)