根尾谷地震断層のすがた

根尾谷地震断層は,濃尾地震とともに有名な水鳥(みどり)の断層崖をはじめとして多くの明瞭な大地の変化を生じたことで,日本を代表する地震断層になっています.とはいえ,形成されてから110年余りの年月が経過しており,当時のすがたをすべてそのまま残しているわけではありません.当時のようすは下記の論文 (ABC順) に詳しく記述されていますし,それらを引用しながら詳しく解説した松田(1974)の論文も参考になります.それらに現在の状況も加味して,具体的なようすを北から南へ順に見ていくことにします.なお,下記の論文は古い文献ですから直接に目を通す機会はほとんどないと思われますので,煩雑にならないように引用個所に名前だけを記すことにします [注]
[文献]
別所文吉(1967) 山嶽の静動および環根尾谷断層地質構造図. 金沢大学教育学部地学教室,地質彙報,初号,364P.
比企 忠(1891) 美濃国根尾谷陥落の略況. 地学雑誌,3,585–589.
小藤文次郎(1892) 美濃大地震ノ震源. 東洋学芸雑誌,9,147–158.
Koto,B.(1893) On the cause of the great earthquake in central Japan, 1891. Jour.Coll.Sci., Imp.Univ.,Japan,5,296–353.
小藤文次郎(1894) 地震を醸せし断層の道筋. 明治二十四年十月二十八日大震報告. 104–108,岐阜県岐阜測候所.
大森房吉(1894) 濃尾地震概況. 明治二十四年十月二十八日大震報告. 48–88,岐阜県岐阜測候所.
大森房吉(1900) 明治二十四年十月二十八日濃尾大地震ノ調査 (第二回報告) . 震災予防調査会報告,32,67–87.
大森房吉(1919) 本邦大地震概報. 震災予防調査会報告,88 (乙) ,1–71.
松田時彦(1974) 1891年濃尾地震の地震断層. 地震研究所研究速報,13,85–126.
[注]   地震当時の記録はすべて尺貫法での表示になっていますが,ここではすべてメートル法で換算して表わします.
能郷白山(のうごはくさん)能郷谷(のうごだに)
藤谷口(ふじたにぐち)能郷(のうご)
長島(ながしま)門脇(かどわき)
越卒(おっそ)(なか)
神所(かんどころ)板所(いたしょ)
水鳥(みどり)平野(ひらの)
日当(ひなた)金原(きんばら)
金坂(かねさか)峠~川内(かわうち)