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断層[4] 岐阜県の活断層
~巣窟~

 
  
【豆知識】

地表でみられる断層のうち,比較的最近になって形成された断層を活断層と呼ぶ.“比較的最近”を200万年前以降,100万年前以降,70万年前以降と,人によりとり方が異なるが,いずれにしも“最近”である.活断層の“活”はいま現在も動いているという意味ではなく,数千年オーダーの間隔であくまでも断続的に動いている.活断層が注目される理由は,大地に働く力の状態が現在も同じであると考えることで,同じ場所で再び動いてストレス解消を行なう ( = 地震を起こす) 時期がわかるからである.
活断層の断層面は地表では“線”として表われ,これを地表踏査で確認することは容易でない.そのため,周囲に比べて浸食に弱い断層線上は線状の谷を作りやすいこと,水平ずれの場合には谷や尾根が途中からかぎ型に屈曲しやすくなることなどを予想して,地形図や空中写真を用いて推定する方法がとられる.日本のように降雨の多いところでは,活断層により作られた地形はすぐに削られてしまうので,断層運動を繰り返しているほど明瞭に地形に表われると考えることでその確実度も推定される.逆に,岩石の硬さなどの地質の要素が地形に現われやすい場合には断層線でない線が引かれたり,地質の影響で断層地形が不明瞭にされてしまう場合もかなりあり,活断層図の扱いには注意を要する.
中部地方は日本列島の中でも活断層の分布密度が最も高い地域の一つにあたり,とりわけ岐阜県地域には大規模な活断層が多く分布している.1891年 (明治24年) の濃尾地震で動いた根尾谷断層は世界的に知られた活断層であり,ほぼ同じような規模をもつ阿寺断層跡津川断層など,あげればきりがないほど,しかもかなり確実度の高い活断層が多く分布する.いわば「活断層の巣窟」とでもいえる地域にあたっている.

【関連項目】 断層[1] 断層とは

【キーワード】 阿寺断層,跡津川断層,確実度,活断層,活断層図,空中写真,地震,断層線,断層面,根尾谷断層,屏風山断層,養老‐伊勢湾断層

【関連文献】
活断層研究会 (1991) [新編] 日本の活断層―分布図と資料―.東京大学出版会,436P.
小井土由光・佐々木嘉三 (1995) 岐阜県の活断層―活断層図と解説―.岐阜県.20P.

【余談】
活断層図の断層線は,もちろん闇雲に引かれているわけではなく,それなりの根拠があって引かれている.引かれた線が現地で確認されることが最良であるが,確認できない場合の方が多い.それだけ不確実な要素を含んだ図面であることを承知しておく必要がある.活断層線が引かれているから,さらには確実に活断層があるから危険であるともいえない.当然のことではあるが,活断層線が引かれていないから安全とはいえない.

『学習テーマ』
小学6年「土地のつくりと変化 (地震) ―地震,断層
中学1年「大地の変化 (地震) ―地震,断層


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