岐阜の地学  岩石・鉱物  スカルン鉱物  御嶽山1979年噴火

岩石・鉱物[15] 玉髄
~石英と同じ~

 
 
  
【豆知識】

大雨見山層群は,濃飛流紋岩とまったく同じ時期に同じような大規模な火砕流の噴出をともなう火山活動で形成された岩体で,丹生川村と上宝村の境界にある大雨見山 (標高1336m) や国見山 (標高1318m) の周辺に約100km²にわたって分布する.この岩体の上位半分は厚い溶結凝灰岩からなり,濃飛流紋岩とよく似た岩相をしめすが,下位半分はおもに非溶結の火砕岩類からなり,その中に流紋岩質の溶岩がはさまれる.これはおもに球顆をともなう無斑晶質の溶岩からなり,この中に長さ10cmほどのレンズ状の形をした玉髄が含まれている.
国府町と上宝村の境界にある大坂峠は,通称十三墓峠と呼ばれ,峠のすぐわきに幅約100m,ほどにわたって玉髄を含む溶岩層が露出している.玉髄は,微小な石英結晶 (SiO2) と非結晶の含水珪酸であるオパール (SiO2nH2O) が集まった,きわめて小さな顕微鏡的な空洞をもつ緻密集合体で,含まれる不純物によっていろいろな色がつく.それらのうち,色がほぼ均質についたものを玉髄といい,同心円状あるいは帯状についたものをメノウという.石英と同じ組成のものであり,本質的には石英と同じものと考えてよいから,かなり硬いものとして石器や装飾品などとして用いられてきた.ここの玉髄は青灰色であることが多く,溶岩が冷えて固まるときにできた空洞を埋めるようにできている.

【関連項目】 なし

【キーワード】 大雨見山層群,玉髄,メノウ,流紋岩質溶岩

【関連文献】
笠原芳雄 (1979) 大雨見山層群の地質~飛騨外縁帯における白亜紀末期の酸性火山作用~.地質学論集,17号,177–186.

【余談】
珪酸SiO2成分は地球上のいろいろなところに顔を出す.チャート (放散虫化石) ,珪藻などもさることながら,なんと言ってもマグマの種類をこの量で区分しているのが最大の晴れ舞台である.その答えは簡単である.地球の最も外側の部分である地殻にある物質として最も多いからである.珪素Siと酸素Oをあわせて体積で95%を占める.これらはまさしくガラスの主成分であり,われわれ人間はほとんどガラス板の上で生活しているようなものである.だから危なっかしいのかもしれない.

『学習テーマ』
中学1年「大地の変化 (火山) ―火山噴出物 (溶岩)


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