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火山[1] 御嶽山1979年噴火
~死火山・休火山に意味なし~

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【豆知識】
火山という用語は,マグマが地表に噴出した場所,あるいは地表には噴出せずに地面を盛り上げた場所,マグマに熱せられた水蒸気が地表に激しく噴出した場所のいずれかを指す言葉であり,“火山体”に近い意味で使われる.そのため,必然的に最近になって形成されたもの,それも火山体としての形を残しているものに限って使うことになる.その火山をかつては「死火山とは歴史時代に噴火記録がないか,今後も噴火する見込みのない火山,休火山とは歴史時代に噴火記録があるが,現在は活動していない火山,活火山とは現在活動している火山」と区分していた.しかし,現在ではこうした区分に意味がないので使わないことになっている.

御嶽山が活火山であることは今では誰も疑わないことであるが,それも1979年 (昭和54年) に噴火したからであり,それまでは死火山とされてきた.国際的には,火山のうち現在および過去一万年間に噴出した火山をすべて活火山と呼んでおり,御嶽山は立派な活火山である.ちなみに1979年の噴火ではマグマ物質が直接地表に噴出したのではなく,水蒸気が爆発的に噴出した水蒸気爆発であった.考えてみると,毎年のように噴火をしている火山もあれば,1000年オーダーの間隔をおいて活動する火山もある.日本で仮に3000年に1回の割合で噴火をする火山があったとするならば,その噴火記録は残されずに死火山として扱われる可能性が高くなってしまう.ようするに死火山・休火山という区分に意味がないことを示している.御嶽山の噴火はそれを見直すきっかけになった噴火の1つであった.

【関連項目】 火山[2] 岐阜県の火山
火山[6] 焼岳火山
火山[7] 巌立

【キーワード】 御嶽山1979年噴火,火山,火山体,活火山,休火山,死火山,水蒸気爆発,マグマ

【関連文献】
山田直利・小林武彦 (1988) 御嶽山地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅) ,地質調査所,136P.

【余談】
死火山・休火山という区分で生じた矛盾は,1万年,10万年単位で活動する火山に人間の時間感覚をそのまま当てはめてしまったことで起こったことである.一人の人間はたかだか100年,人類の記録としても数千年の期間だけ地球上に存在していることを忘れてはならない.

『学習テーマ』
小学6年「土地のつくりと変化 (火山) ―火山の活動
中学1年「大地の変化 (火山と火成岩) ―噴火活動


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