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火山[6] 焼岳火山
~マグマを噴出させない活火山~

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【豆知識】

焼岳 (標高2458m) は,北アルプスの尾根上に分布する活動的な火山として有名である.ただし,御嶽山乗鞍岳もそうであるように単独の火山体としてあるわけではなく,焼岳のほか,その北側にある割谷山,北西側の岩坪山,南側の白谷山・アカンダナ山をあわせて全体を焼岳火山群と呼ぶ.焼岳火山群としての活動史はかなり複雑なようで,10万年ほど前から活動が始まったらしい.そのなかでも,おおよそ3万年前から活動を始めたとされる焼岳が最も若い火山体である.現在の焼岳頂上付近を特徴づけるゴツゴツとした奇怪な山容は,約1万年前に噴出した溶岩ドームが作ったものであり,その周辺を取り囲むように分布する火砕流堆積物は2500~1500年前と推定されている.
焼岳火山がかなり若くて活動的な火山であると印象づける理由は,現在も噴気活動がみられることもあるが,歴史時代になってからの活動があるからである.1907年 (明治40年) から1930年 (昭和5年) 頃まで続いた活動では1915年 (大正4年) に長野県側に泥流を流出させ,梓川を堰きとめて『大正池』を作ったことはよく知られている.1962年には水蒸気爆発と泥流の流出があり,まさしく活火山そのものといえる.活火山というと噴煙を噴き上げたり,溶岩を流したり,最悪の場合には雲仙普賢岳のように火砕流を流したりして,その地下にあるマグマが地表にもたらされることが多い.焼岳における最近の活動も地下でマグマの活動があったからこそ起こったことであるが,そのマグマ物質自体はどうやら直接噴出しなかったようである.

【関連項目】 火山[1] 御嶽山1979年噴火
火山[5] 上野玄武岩

【キーワード】 活火山,北アルプス,水蒸気爆発,大正池,泥流,乗鞍火山帯,焼岳火山,溶岩ドーム,1907~1930年噴火活動,1962年噴火活動,

【関連文献】
原山 智 (1990) 上高地地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅) ,地質調査所,176P.

【余談】
1979年の御嶽山噴火も水蒸気爆発であったことを考えると,乗鞍火山帯の火山はもはや衰えかけた火山ともとれるが,たかだか40年間ぐらいの症状で勝手な推量をしているだけともとれる.誰一人,これをもって一火山の終焉と判断できるわけではないのであるから.

『学習テーマ』
小学6年「土地のつくりと変化 (火山) ―火山の活動
中学1年「大地の変化 (火山と火成岩) ―噴火様式


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