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火山[15] 乗鞍火山
~イメージは岐阜県の山~

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【豆知識】

乗鞍岳は,いろいろな点ですぐ南隣にある御嶽山と比較される.共通する点は,基盤がかなり高いところまで分布し,その上に火山噴出物が薄く載っているだけの山体であり,いくつかの火山体による複合火山体をなすことである.さらには,乗鞍岳という名称の山がない点も御嶽山という名称の山がないのと共通している.しかし,2つの山が同じ長野県境にありながら,御嶽山は長野県の山,乗鞍岳は岐阜県の山というイメージがそれぞれ強い.これは,その全貌が高山盆地側からは望めるのに松本盆地側からはほとんど望めないこと,標高2700m付近まで自動車で登れる山岳道路が岐阜県側にあることが影響していよう.
乗鞍岳は,標高2500mを超える高い峰が南北に5kmほどにわたり23個も並ぶという大きな山体である.火山体を呼ぶ場合には“乗鞍岳火山”とは呼ばずに“乗鞍火山”と呼ぶ.乗鞍火山は約30万年ほど前から活動を始め,北から烏帽子,鶴ヶ池,権現池の3つの火山体を形成した.個々の火山体は古期の成層火山体と新期の噴出物で構成されており,最南端にあって最大で最新の権現池火山体に,最高峰の剣ヶ峰 (標高3026m) がある.乗鞍火山の特徴は,火山灰などの火山砕屑物があまりみられずに,安山岩質~デイサイト質の溶岩が大部分を占めることであり,御嶽火山が大量の降下火山灰層を噴出させている点と大きく異なる.御嶽火山は1979年に噴火活動を行なったが,乗鞍火山では歴史時代の噴火記録はない.

【関連項目】 火山[1] 御嶽山1979年噴火
火山[2] 岐阜県の火山

【キーワード】 安山岩質~デイサイト質溶岩,烏帽子火山体,御嶽山,権現池火山体,山岳道路,鶴ヶ池火山体,乗鞍岳,乗鞍火山,複合火山体

【関連文献】
中野 俊・大塚 勉・足立 守・原山 智・吉岡敏和 (1995) 乗鞍岳地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅) ,地質調査所,139P.

【余談】
乗鞍スカイラインは日本で最も高い場所を走る山岳自動車道である.自動車でどこへでも行けるのは便利なことであるが,地質を含めた自然の条件も考えずに山岳地帯に当たり前のように自動車道がつけられていくのは,自然のバランスを崩す点で問題である.林業を名目にして工事することに目的があるのかと思いたくなる道路敷設もある.道路に限らず,適当な理由をこじつけて自然のバランスを崩してきた工事がいかに多いか考え直す時であろう.人間の首を締めながら人間の繁栄を唱えても何の意味も無い.

『学習テーマ』
小学6年「土地のつくりと変化 (火山) ―火山の活動
中学1年「大地の変化 (火山と火成岩) ―火山の活動


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