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火山[14] 白山火山
~巨大な山の小火山~

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【豆知識】

石川県境にそびえる白山は,岐阜県側からみても北陸側からみても重量感のある巨大な山という印象を与える.これが白山信仰を生んだ背景の一つにあげられることは間違いない.しかも火山であることから,御嶽山乗鞍岳と同じような巨大な火山体という印象を与えている.しかし,御嶽山や乗鞍岳がそうであったように,白山も基盤岩類がかなり高い所まで分布しており,ほとんど基盤岩類の手取層群濃飛流紋岩がつくる山といわなければならないほどの山である.その上にのる火山体はかなり小規模なもので,頂上付近にある御前峰 (最高峰; 標高2702m) ,剣ヶ峰 (標高2656m) ,大汝峰 (標高2648m) の三峰は白山火山の噴出物で構成されているが,火山体としての最大層厚は400mほどにすぎない.
白山火山の活動は,約30万年前の加賀室火山の活動に始まるが,その火山体は浸食されてしまいほとんど残っていない.約13万年前から約6万年前にかけて古白山火山の活動があり,かなり高い成層火山が作られた.その後,古白山火山の南側斜面で新白山火山の活動が比較的最近になって始まった.約4400年前には山体が崩壊して岩屑なだれが発生し,岐阜県側の大白川に沿って厚い岩屑流堆積物を堆積させた.約3000年前の白水滝溶岩の噴出や歴史時代に入ってから1554年 (天文23年) の小規模な火砕流の噴出などがあり,そうした活動で翠ヶ池などの小さな山頂火口群が形成された.1579年 (天正7年) の活動以後は噴火記録がないが,白山火山はまぎれもない活火山である.

【関連項目】 火山[2] 岐阜県の火山
火山[8] 飛騨テフラ

【キーワード】 白山火山,加賀室火山,古白山火山,新白山火山,岩屑なだれ,白水滝溶岩

【関連文献】
長岡正利・清水 智・山崎正男 (1985) 白山火山の地質と形成史.石川県白山自然保護センター研究報告,12号,9–24.
山崎正男・中西信弘・松原幹夫 (1968) 白山火山の形成史.火山,第2集,13,32–43,

【余談】
白山は霊峰として有名であるが,高山植物の名称にもしばしば登場する.ハクサンイチゲ,ハクサンコザクラなど“ハクサン”がつく高山植物の名が多い.多くは白山で見つけられたことに因んで命名されているようであるが,なかには白山には生育していないものまであるらしい.日本には他にも高山植物の宝庫と思える場所はたくさんありそうであるが,それだけハクサンにはタクサンの高山植物があるのであろうか.

『学習テーマ』
小学6年「土地のつくりと変化 (火山) ―火山
中学1年「大地の変化 (火山と火成岩) ―火山地形


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