岐阜の地学  火山  御嶽山1979年噴火  大日ヶ岳・烏帽子岳火山岩類

火山[2] 岐阜県の火山
~火山は低い山~

 
 
 
  
【豆知識】

長野県境に南北にならぶ御嶽山,乗鞍岳,焼岳や石川県境にそびえる白山は,いずれも火山として知られている. しかも,御嶽山乗鞍岳の標高は3000m以上,白山も2700mほどとかなり高い山である.ところが,これらの火山は土台が高いために高くみえているだけで,火山体だけをとりだしてみるといずれもかなり低い山である.個々の火山体は複雑な活動史を持っており,単純に噴出物が積み重なってできているわけではないが,御嶽山では標高2000mを超える高さまで基盤の岩石が分布している.乗鞍岳や焼岳も似たようなものである.白山では標高約2500m以上の山頂部はほとんど基盤の岩石からなり,このまま噴火活動がなく推移すると,すぐに削剥されてなくなってしまうほどである.
富士山はいろいろな意味で日本を代表する山であり,火山である.しかもきれいな裾野をひくその姿は,3776mの高さまで火山噴出物で築き上げられていると錯覚させられてしまいそうである.しかし,山体の内部には標高2000mを超える高さの古い火山体が隠されており,その上を覆うように火山噴出物を積み上げているにすぎない.火山体としての富士山は決して高い山ではない.しかし,いつのまにか「火山は高い山」,「高い山は火山」といった思い込みが一人歩きをはじめているようである.多くの火山が上げ底で,低い山であることは日本ではかなり一般的に言えることである.北アルプス地域で典型的に見られるように,基盤の標高が高いことは大地の隆起量が大きいことを意味しており,隆起量の大きい場所を選んで火山活動が起こっているといってもよい.

【関連項目】 火山[5] 上野玄武岩
火山[6] 焼岳火山
火山[7] 巌立
火山[14] 白山火山
火山[15] 乗鞍火山
地形[4] 北アルプス

【キーワード】 御嶽山,火山,北アルプス,乗鞍岳,白山,富士山,焼岳,隆起

【関連文献】
原山 智 (1990) 上高地地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅) ,地質調査所,176P.
中野 俊・大塚 勉・足立 守・原山 智・吉岡敏和 (1995) 乗鞍岳地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅) ,地質調査所,139P.
長岡正利・清水 智・山崎正男 (1985) 白山火山の地質と形成史.石川県白山自然保護センター研究報告,12号,1?7.
山田直利・小林武彦 (1988) 御嶽山地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅) ,地質調査所,136P.

【余談】
“自然は嘘をつかない”とよくいわれる.確かにその通りである.外見も中味もそれぞれ真実の姿を示している.問題は人間がそれを正しく見抜いているか,正しく評価しているかで真実が虚偽に化ける.外見に惑わされての過大・過小評価はやはり人間のなすワザなのである.

『学習テーマ』
小学6年「土地のつくりと変化 (火山) ―火山の形
中学1年「大地の変化 (火山と火成岩) ―火山地形


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