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火山[21] 瑞浪層群の火山活動
~火だるまの化石宝庫~

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【豆知識】

堆積岩には,河川によって運ばれてくる砕屑物 (砂や泥) が堆積してできる砕屑岩 (砂岩や泥岩) とおもに微細生物の遺骸が降り積もってできる非砕屑岩 (チャートや石灰岩) がある.砕屑物は大地を作っていた各種の岩石を削ったものであり,何でも混ざっており,いわば砕屑岩はゴミ捨て場である.砕屑物は粒径だけを基準に砂とか泥といっているに過ぎない.マグマの活動で形成される火山岩類も,地表へ出てしまえば堆積岩としての側面を備えることになる.とりわけ,火山灰などの固体物質は砕屑物と同じように扱えるから,火山砕屑物 (岩) として堆積岩類の範疇で取り扱うこともできる.これには火山活動で直接もたらされる場合もあるし,いったん堆積したものが削られて移動してもたらされる場合もある.後者は砕屑岩と火山砕屑岩の両方の要素をもった堆積岩となり,前者とは少し異なるので,火山性砕屑物 (岩) と呼んで区別する.凝灰質砂岩 (泥岩) などと呼ばれる岩石がこれにあたる.しかし,現実には前者と後者の境界を決めるのはむずかしい場合が多い.
化石の宝庫とされる瑞浪層群はまさしく砕屑岩で構成されているが,瑞浪地域の本郷累層などをはじめとして,純粋に砂岩や泥岩といえるものは少なく,火山性砕屑岩がかなり含まれている.場所によっては明確な火山砕屑岩が存在する.火山性砕屑岩は火山から直接もたらされなくても,近傍で活発な火山活動があったからこそ形成される岩石である.具体的にどこで火山噴火があったのかはわかっていないが,瑞浪層群に含まれる各種の大型動物化石や貝類化石の死因を火山活動に求めてもおかしくない.火砕流に逃げまどうデスモスチルスがいたかもしれないし,浅瀬に急激に降り積もった火山灰で貝類が窒息したかもしれない.

【関連項目】 化石[2] 瑞浪層群

【キーワード】 火山砕屑岩,火山砕屑物,火山性砕屑岩,火山性砕屑物,砕屑岩,砕屑物,堆積岩,非砕屑岩,本郷累層,瑞浪層群

【関連文献】
林 譲治 (2001) 瑞浪市周辺の第一瀬戸内中新統瑞浪層群における顕著な火山砕屑岩類.岐阜県地学教育,37,13–24.

【余談】
岩石は,その成因に基づき火成岩,堆積岩,変成岩に分けられている.それぞれに明確な定義があるから区分できるし,分類が可能になる.これは中学校で習ったことである.しかし,どちらの定義にもあてはまる岩石が存在する.火成岩と堆積岩の両者にあてはまるのが火山岩であり,堆積岩と変成岩,変成岩と火成岩の間にも類似のことがある.これは中学校では習わない.大学で学ぶことである.

『学習テーマ』
小学6年「土地のつくりと変化 (火山) ―火山噴出物 (火山性砕屑物)
中学1年「大地の変化 (地層と大地の歴史) ―火山砕屑岩


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