『濃尾地震と根尾谷断層』
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中部
(根尾村
水鳥
(
みどり
)
~
平野
(
ひらの
)
付近)
↑根尾谷断層のすがた
根尾村水鳥付近における根尾谷断層
(1 / 5万地形図「谷汲」を使用)
水色○印: 断層破砕帯の露頭位置
[岡田・松田(1992)による]
枠内は平野地域の図の範囲を表わします.
水鳥は濃尾地震とともに形成された断層崖で有名になっている場所ですが,ここにもそれ以前から活断層が存在していました.左図のように,根尾川東岸沿いに南下してきた断層線とは別に,西岸沿いに走る断層線が認められています.
根尾村水鳥の北部における東西地質断面図
[岡田・松田(1992)による]
根尾村水鳥にある西方寺とその裏 (西側) にある寺山
(2002年11月撮影)
1. 水鳥
断層崖を形成した地震断層は水鳥地域より北西へは延びていませんが,活断層としては北西へ延びています.そこには鞍部地形がみられ,根尾川の河岸に断層破砕帯が露出しています.
断層活動の累積は,水鳥の北西端にある寺山の上に載る段丘礫層の分布高度から推定できます.この礫層と同じものは断層線を挟んで西側にも分布し,その基底面の高度差が左図のように約14 mになっています.濃尾地震の時に断層崖が5~6 mの垂直ずれを起こしていますから,同規模の運動が少なくとも2~3回累積されれば,現在のような高度差が生じることになります.段丘礫層の形成時期が約14,500年前ですから,平均活動間隔は4,000~6,000年となります.
【文献】
岡田篤正・松田時彦(1992) 根尾村水鳥および中付近における根尾谷断層の第四紀後期の活動性. 地学雑誌,
101
,19–37.
⇒根尾谷地震断層 (水鳥~平野)
根尾村平野付近における根尾谷断層がつくる断層地形
(1 / 5000森林基本図「根尾村」No.28,32を使用)
○印: 鞍部および傾斜変換部
2. 平野
水鳥断層崖の位置に沿って通過した断層線と根尾川沿いに南下してきた断層線が水鳥の南方で一体化してから平野に至ります.平野の北東側には支谷の左ずれ屈曲
(a–a′)
がみられ,鞍部地形や斜面の傾斜変換部が直線状に並び,峠鞍部を越えて本巣町
日当
(
ひなた
)
へと向います.
⇒根尾谷地震断層 (水鳥~平野)