マントル対流


(a) 2層対流モデル。上部マントルと下部マントルが別々に対流している。
(b) 1層対流モデル
(原図: 丸山茂徳, from 川上紳一. 縞々学 リズムから地球史に迫る. 東京, 東京大学出版会, 1995. p.69)
大陸移動の原動力として,マントル対流が有力視された。マントルは固体の岩石だが,わずかに流動性があり,1年に数cmの速度で対流している。プレートの運動は,このマントル対流の現れである。しかし,マントル対流の様式がどんなものか,マントルの深部の対流運動とプレート運動がどう関係しているかなど,基本的な問題が長いあいだ謎だった。
こうした中で,マントル対流モデルとして, “マントル全体が一つの対流をする” という 〝全マントル対流モデル〟 と, “上部マントルと下部マントルがそれぞれ別の対流をする” という 〝二層対流モデル〟 の2説が提案された。
1990年代になって,地震波トモグラフィーという解析法が進歩し,地球内部における地震波速度の画像が得られるようになった。得られた地震波速度がマントルの温度を表しているとすると,温度の高い地域がマントル対流の上昇流,温度の低い地域が下降流になる。すなわち,地震波速度の不均質からマントルの運動がわかる。こうして,地球深部の対流運動は,プルーム状の上昇流と下降流が重要であることが明らかになった。
こうした理解をもとに,プルームの上昇過程を理解したり,地球深部のプルーム性の運動とプレート運動の関連を明らかにする目的で,多数のシミュレーションがなされている。
典型的なプルームは,球状の先端部と,その下の細管状の後続部からなる。プルームの先端が地表に近づくと,プルーム物質が融けて火山活動を引き起こす。ハワイなど,プレート内部にもかかわらず火山活動の活発な地域は,ホットスポットと呼ばれ,プルームの上昇によりつくられた。また,インドのデカン高原の洪水玄武岩も,大規模なプルームの上昇で作られた。さらに,ナミビアのエテンデカ洪水玄武岩のように,プルーム活動は大陸を分裂させることもある。

© 2002 Gifu University, Shin‐Ichi Kawakami, Nao Egawa.