極移動

地球表面は,十数枚のプレートに分かれてる。大陸はプレートに乗って移動するので,海陸分布は時代とともに移り変わってきた。
古地磁気学[英語]のデータを使えば,過去の海陸分布を復元できる。火成岩が固化したり堆積岩が堆積するときに,磁性をもった鉱物がそのときの地球磁場を記録する。この現象を利用すると,地質時代の地磁気の情報が得られる。
個々の大陸に着目すると,異なる時代の火成岩や地層から当時の地磁気の極を推定できる。大陸はプレート運動によって位置を変えるので,古地磁気データから逆に地球磁場の極の位置が復元される。これを 〝見かけの極移動〟[英語]という。複数の大陸の見かけの極移動を比較すると,大陸が合体した時期や分裂した時期を見積もることができる。
これに対し,固体地球に対する地軸の位置の変化を, 〝真の極移動〟[英語]という。真の極移動は,固体地球の質量分布が変化して起こる。
地球は3軸不等の楕円体であり,それぞれの軸を回転軸にした回転しやすさを 〝慣性モーメント〟 と呼ぶ。現在の地軸は,南極点と北極点を結んだ軸で,これは慣性モーメントが最大の軸である。しかし,3つの慣性モーメントの大きさの順番が入れ替わると,赤道面内にある軸が安定な回転軸になる。古地磁気学の研究によると,そうした固体地球の方位変化をともなう回転軸の再編成が,原生代末から古生代にかけて起こったかもしれない。

© 2002 Gifu University, Shin‐Ichi Kawakami, Nao Egawa.