岐阜の地学  災害  メタセコイア  岐阜県の土砂崩れ

災害[1] 土砂災害とは
~大地は崩れる~

 
 
  
【豆知識】

自然災害とよばれるものは自然現象を発端にして生れるが,それに人間が絡むことで災害化したものである.アフリカのサバンナ地帯で雨季に巨大な湖が生まれても,それは単なる自然現象に過ぎない.同じことが濃尾平野で起これば間違いなく水害である.地震もまったく同じであり,人間の生命なり生活に影響を及ぼす場合に限って震災といっているに過ぎない.注意しなければならないことは,自然災害という言葉が“自然に起きる災害”という意味ではないことである.
海水面より上に出ている大地は,一刻の休みもなくすべてが海水面の高さになるまで削られたり,崩れつづけて安定になろうとしている.大地は常に引力によって引っ張られており,不安定な状態にあれば安定な状態になろうとして崩れる.それがかなりゆっくりして進行していれば気がつかないで過ぎてしまう現象であるが,目に見えるほどの速度で進行すると土砂崩れとなる.崩れる速度は大地が不安定なほど速くなり,それはおもに地形と地質によって決まる.さらには速度をはやめる促進剤の存在も重要である.直接的な促進剤には降雨などからの水や地震時の振動があげられるが,間接的には気候も影響する.これらが複雑にからむことで引き起こされる土砂崩れは,条件さえ整えばどこでも起こる自然現象である.それが人間の生活空間で起こった場合に限って土砂災害となる.人間の生活空間が時代とともに広がることで土砂崩れに遭遇する機会が増え,その結果として土砂災害が増えてきた.自然現象のはずの土砂崩れを人工的に作り出して土砂災害になっている例も多くなってきた.人間は自然界の運動のどこに位置づけられて生活させてもらっているかを把握しておく必要があろう.

【関連項目】 地形[3] 東濃地方
災害[2] 岐阜県の土砂崩れ
災害[3] 花崗岩地帯の土砂災害
災害[6] 栃尾洞谷土石流
災害[7] 越美三大崩れ
災害[8] 帰雲山大崩壊
火山[7] 巌立

【キーワード】 自然災害,土砂崩れ,土砂災害.

【関連文献】 なし

【余談】
今世紀最初の上陸台風は,時代の流れに逆らうようにゆっくりと太平洋岸の海岸線をなめるように進んだ.速度が遅かったために長時間にわたり風雨の強い状態が続いたことで被害も拡大したようである.台風には自らの推進力がないため,周囲の気圧配置や偏西風の力で方向や速度が決まる.すべてその時の気象条件 (自然現象) がなすわざである.それに対して冗談とも思えぬ調子で,「こんなに速度の遅い台風はおかしい,許せぬ」という趣旨の報道が某テレビ局でなされていた.おかしな,許せぬ発言であるが,これが一般的な感情なのであろう.

『学習テーマ』
災害 (土砂災害)


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