岐阜の地学  地形  長良川最上流部  長良川扇状地

地形[10] 長良川中流域
~途中下車~

 
 
  
【豆知識】

長良川は,大きくみれば濃尾平野へ至るまでは山間部を流れていることになるが,いくつかの平地部を流れる機会をもつ.そのなかで最大の平地部は美濃市から関市へ至る地域で,ここでは美濃・関盆地と呼んでおく.ここは周囲をそれなりに山に囲まれてはいるが,南東方へはそのまま可茂盆地へつながる平坦地が広がり,南西方へはそのまま濃尾平野につながっていると思えるほどかなり開けた地域である.この地域に可茂盆地側から当時の木曽川が流れこんでいた時期もあるが,長良川が可茂盆地側へ流れた形跡はなさそうである.長良川はこの開けた地域にいったん流れこみ,その中をゆったりと流れてから,チャートがつくる組織地形の峰を横切ることで濃尾平野へ出て行く.ただし,かつては関市千疋から西方の高富方面へ向かって流れたこともあったようである.
長良川は全体として隆起運動の緩やかな地域で,急峻な地形を形成しにくい環境を流れているが,それでも山間部を流れている間はそれなりに勾配があり,土砂を堆積させる機会は少ない.美濃・関盆地へ流れ出ると勾配が緩やかになり,流路が広がることで流速が落ち,土砂を落していく.この地域は長良川が運んできた土砂にしてみると途中下車駅となる.土砂を上流からいっきに平野に運ぶ川と比べると,平野へ運び込む土砂量が少なくなるのは当然である.木曽川には途中下車駅がなく,濃尾平野における長良川扇状地木曽川扇状地を比べると,後者が圧倒的に大きい.これには上流部での土砂生産量や土砂運搬力の差に加えて,途中下車駅を持つか否かも大きく影響している.

【関連項目】 地形[5] 金華山
地形[8] 長良川
地形[11] 長良川扇状地
地形[13] 可茂盆地

【キーワード】 可茂盆地,木曽川扇状地,関市,土砂運搬量,土砂の途中下車,長良川,長良川扇状地,濃尾平野,美濃市

【関連文献】
鹿野勘次 (1990) 美濃加茂周辺地域の第四系.岐阜県地学研究,26,11–24.

【余談】
途中下車は鈍行列車の定番である.飛行機ではもちろん,鉄道でも特急では最初から途中下車などということを想定していない.最近,あまり途中下車をしなくなっている.鈍行列車がまったく無くなってしまったわけではないが,かなり少なくなったことは間違いない.それよりも乗客として時間的余裕のないことが途中下車の少なくなった最大の理由であろう.

『学習テーマ』
小学5年「流水による土地の変化―川の働き
小学6年「土地のつくりと変化 (地層) ―川の働き


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