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景勝地[6] 鬼岩公園
~風化の残骸を眺めて~

 
  
【豆知識】

形成時の冷却にともなう方状節理をもつ程度の硬固な岩石,これが東濃地方に分布する花崗岩類のもともとの姿である.それは木曽川により深くえぐられた景勝地・恵那峡を作り出しており,採石場で石材として切り出されている.ところが,その岩石組織の特性から,風化してマサ化しやすい岩石でもある.マサ化により大地は崩れやすくなり,緩やかな地形をもたらす反面,土砂災害の要因となったり,大量の土砂を下流へ運び出して濃尾平野に巨大な木曽川扇状地を形成したり,マサ化の残骸ともいえる傘岩などの造形物をつくりだしたり,さらには大量の窯業原料を生成する手助けとなったり,われわれの生活に深くかかわるいろいろな場面に登場していろいろな影響を及ぼしている.こうしてみると,花崗岩という岩石はそれほど複雑な組成や岩石組織をもつわけでもないのに,いろいろな姿をわれわれに見せてくれる.
こうしたなかで,風化の程度が中間的な段階として適度に進行すると,花崗岩の表面がかなり崩れていながら,内部には硬固な部分を保持した状態がつくられる.立方体状の割れ目を作る方状節理にそって風化して崩れることで,丸みのある表面が並ぶ光景が表われる.御嵩町の鬼岩公園はこうしてできた景勝地である.ここをつくる花崗岩は土岐花崗岩であり,樹木の間に巨岩群が林立しているように露出しており,こうした地形をトア (岩塔) と呼ぶ.樹木は水分の得やすい方状節理に沿う風化部をおもに利用して生えているので,樹木に囲まれて巨岩が顔を覗かせているようにみえ,それが独特の景観を作り出している.

【関連項目】 岩石・鉱物[2] 苗木・土岐花崗岩
地形[3] 東濃地方
資源・温泉[3] 窯業原料
災害[3] 花崗岩地帯の土砂災害

【キーワード】 鬼岩公園,土岐花崗岩,トア,方状節理,マサ化

【関連文献】 なし

【余談】
鬼岩公園を眺めて落ち葉を連想する人は少ないと思うが,秋になると起こる広葉樹の落葉も風化の残骸といえる.枯れていく様は風化であり,落ち葉はその残骸に他ならない.少し違うのは,落葉は生命体維持のためのリストラ作業である点である.養分を吸い上げる葉を落すことで,冬場に余分な出費をしないようにする植物体としての巧みな工夫である.人間は現実社会のリストラをさしおいて,自然界のリストラを見て感傷的になるのである.不思議な動物である.

『学習テーマ』
中学1年「大地の変化 (地層と大地の歴史) ―風化,浸食


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