35億年前の硫酸還元菌

オーストラリアのノース・ポールで採取された、重晶石と硫化物の硫黄同位体比分布。ズーム
オーストラリアのノース・ポールで採取された、重晶石と硫化物の硫黄同位体比分布。
Reprinted by permission from Nature Shen et al. 2001 Figure 2 copyright 2001 Macmillan Publishers Ltd.
SSU rRNAから得られた、生命の系統樹。ズーム
SSU rRNAから得られた、生命の系統樹。
太破線は、好熱性(>70℃)の硫酸還元菌。太実線は、非好熱性(<70℃)の硫酸還元菌。
分子的手法だけでは、分岐年代は求まらない。図中の年代は、地質学的証拠に基づいている。Shenらは、硫酸還元菌Thermodesulfobacteriumの分岐年代を34.7億年前と決定した。(Gyr = 10億年)
Reprinted by permission from Nature Shen et al. 2001 Figure 4 copyright 2001 Macmillan Publishers Ltd.
ウェスタン・オーストラリアのピルバラ地域には、世界最古(34.7億年前)の硫酸塩岩(重晶石)の鉱床がある。最近、デンマークのY. Shenらは、重晶石の硫黄同位体比を測定し直すと同時に、重晶石に含まれる微小な硫化物の硫黄同位体比を測定し、硫酸塩と硫化物の同位体分別の大きさから、当時硫酸還元菌の活動があったかを検討している。
試料は、ノース・ポール地域に露出するワラウーナ(Warrawoona)層群のドレッサー(Dresser)累層から採集された。硫化物は重晶石を含む縞状の岩石中で、厚さ2~10 mmのラミナ状に含まれている。従来測定されている硫化物の大きさ粒子の硫黄同位体比は平均-0.9‰~-2.4‰で、重晶石の硫黄同位体比との差は小さい。ところが、今回測定した微小な硫化物粒子の硫黄同位体比は、-17から-2‰までの値をとっており、重晶石の硫黄同位体比との差は、平均で11.6‰、最大で21.1‰に達する。このことから、Shen et al. (2001)は、34.7億年前にすでに硫酸還元菌が出現していたと論じている。
一方、今回得られた硫酸還元菌の出現時期を、微生物の分子系統樹に照らし合わせ、分岐年代の見積もりを試みている。
文献
Shen, Y; Buick, R; Canfield, DE. 2001. Isotopic evidence for microbial sulphate reduction in the early Archaean era. Nature, 410, 77–81. [abstract] [abstract (日本語)]