仮説の戦い

地球史における硫黄同位体比の変遷をみると、23億年前より古い時代の硫化物の硫黄同位体比と硫酸化合物の硫黄同位体比の差は小さい。この事実をめぐって、次の2つの解釈があり、論争となっている。キャメロンや服部恵子らの一連の研究は、23億年前以前には硫酸還元バクテリアの硫酸還元作用は硫黄の地球化学サイクルにおける重要な要素ではなかったと考える。大本らは、硫酸還元バクテリアの硫酸還元速度が大きい場合には、同位体分別の大きさが小さくなるというものである。