服部恵子らの追試

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カナダ・カルガリー大学の服部恵子らは、キャメロンの問題提起を受けて、23億年前ごろの堆積岩中の硫化物の硫黄同位体比を測定している。Hattori et al. (1983a)は、カナダのヒューロニアン超層群の最下位のマチネンダ累層(Matinenda Formation)から硫化鉄(パイライト)を採集した。これらの地層は陸上で体積した砂岩、礫岩である。得られた値は、ほぼ0‰であり、硫酸還元バクテリアの同位体分別の影響は認められなかった。さらに南アフリカ、オーストラリアの陸上堆積物の硫化物硫黄同位体比を測定し、硫黄同位体分別の影響がないことを確かめている。
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さらにHattori et al. (1983b)は、ヒューロニアン超層群の上位の地層からもパイライトやピロータイトを採集し、硫黄同位体比を測定した。下位の層準については、Hattori et al. (1983a)と同様大きな硫黄同位体分別の影響は認められなかった。上位のCobalt Groupでは、データに大きなばらつきがあり、平均値が系統的に負の値へシフトしていることから硫酸還元バクテリアの硫酸還元反応が顕在化したものと解釈された。ヒューロニアン超層群には赤色砂岩が含まれており、22億年前ごろになって、大気中の酸素濃度が増加したことが示唆された。
文献
Hattori, K; Campbell, FA; Krouse, HR. 1983a. Sulphur isotope abundances in Aphebian clastic rocks: implications for the coeval atmosphere. Nature, 302, 323–326.
Hattori, K; Krouse, HR; Campbell, FA. 1984b. The start of sulfur oxidation in continental environments: about 2.2x109 years ago. Science, 221, 549–551.